ヤゴ

アルゴン

きり

僕は憂鬱だった。

「虫を捕まえる。」

そのことが分かった瞬間、僕は指一本動かさず、視線を震わせながら机上を見ていた。チャイムが鳴っても席に座り続け、しばらくの間うつむいていた。

その後の授業は、、。

なぜだろう。しっかり聞いていたはずなのにあまり内容が思い出せない。

「昨日はちゃんと寝たはずなのに。」

心の中の自分は、ぶっきらぼうにそう言った。

校門を抜けると、僕は隅に転がっていた石ころを蹴った。蹴って、蹴って、蹴り続けた。

「なんでこんな音が鳴るんだろう。」

家に着く頃には、もう僕は、石ころのプロ奏者になっていた。

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