幕間(私の決意)
迫る放課後。
ホームルームの途中。私はどうにかして放課後のいべんとを回避する方法を考えていた。
生徒会の方では無い。天文学部の天田一星のいべんとだ。
生徒会の方のいべんとはどう足掻いても回避は難しいだろう。なぜなら、ホームルームが終わった途端、新谷が教室に来て一緒に行くはめになる。
1度ホームルームが終わる前に教室から抜け出そうとした事があったが、何故か新谷は既にクラスの前にいて……
(あの時は確か、トイレに行くって誤魔化したんだっけか)
前々回の記憶を思い出して、私は身震いした。
あの時行動を間違えていたら、確実に監禁されていた。体調が悪いとか言うものなら、速攻、新谷の家に連れて帰られて心配だからとか言う理由で監禁生活の始まりだ。
本当に“こうりゃくキャラ”とやらはロクな男が居ない。
奴らの過去はもれなく、とんでもなく重たい。
抱えたら最後、深い海の底に引きずり込まれるレベルだ。だからといって“私”が殺されたり、監禁されたりしていいはずがない。
(クソ、イライラして来た。それより天田一星に会うのを避ける事を考えよう)
“あいつ”が何を考えてまた“最初から”を選んだのかは不明だが。いい加減あいつの意向に従って行動してやるのも腹立たしい。
なので、こうりゃくキャラの奴らのるーとへ絶対に入らないと決めたのだ。
(こうなりゃ、“こうりゃくふらぐ”とやらをバッキバキにくだいてやる)
1人で使命感のようなものに燃えているとチャイムの音と共に、教室の前方の扉が開く。
『迎えに来たぜ』
【いきなりあいた教室のドアから、爽やかな笑顔を浮かべた新谷君が顔を覗かせる。入学早々バスケ部のエースの座を奪った彼の登場に教室中がざわめき、同時にみんなの視線が私に集まった】
『あっ、ありがとう』
【私はその視線に耐えきれず、カバンを掴むと慌てて教室を抜け出した】
(このどさくさで忘れるはずの辞書は、今日持ってこなかったのよ!)
天田登場いべんと回避の予感に私はほくそ笑みながら教室をあとにした。
天田の登場いべんとは私が宿題に必要な古典の辞書を新谷のせいで忘れるから起こる。
ならば持ってこなければいいのだ。
幸い何度も何度も受けた授業だ。辞書なんて無くても困らない。
ただ、今朝の京極登場いべんとを回避した結果。おかしな形で登場いべんとが発生したので、唐突な荷物検査とか無いかと心配していたのだが。何とかなった。
つまり生徒会いべんとの後、真っ直ぐ帰れば。天田一星の登場いべんとはおこらないはずだ。
(まだ、完全に安全とは言いきれない。京極の件があるからなぁ。でも回避出来ないと決まった訳でもない!やってやるぞ!!!)
私は何やら話しかけてきている新谷の横で強く心に誓う。天田一星の登場いべんと。
宇宙人と交信している姿を絶対に見ないと。
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