第3話 書き込み2

 その4


「学齢期になって、小学校に上がりました。母親が働き始めたので、学童に入ることになりました。学童は楽しくありませんでした。庭がない代わりに屋上があるんですが、そこにはいつも、小4くらいの女の子がいました。一人で走り回って遊んでましたが、周囲の子は誰も話しかけません。汚れた服を着ていて、全然笑わない子でした。何年生かなと思って見ていましたが、学校にはいない子です。名札が付いているけど、水に濡れて名前が読めませんでした。


 一人でかわいそうだな。寂しそうだなと思って見ていたけど、他の人には見えていないことに気が付きました」


(返)「雷魚さんは話しかけなかった?」


「子どもながらに面倒臭いと思って話しかけませんでした。その子は、自分が学童をやめるまでいました」


 その5


「小学校の5年生の時、同級生が亡くなりました。亡くなった日は普通に学校に来ていました。自分はその子と仲良くなかったし、その日、学校にいたという確信はありませんでした。ただ、その日は欠席0だったから、いたんだろうという感じでした。

 その日の放課後、その子は狭い道路で車にはねられて亡くなりました。同級生がなくなったことはショックでしたし、学校に行ったらお葬式ごっこみたいに、机の花瓶に生けた花が飾られていました。

 でも、その子はそれからもずっと学校に来ていました。いつもそこに座っていましたが、学期が変わって席替えをしたら、その子の机はなくなってしまいました。その後はいつも一番後ろに立っていて、寂しそうに授業を見ていました。

 先生に言うと変な子だと思われるので黙っていました」


(返)「かわいそうだね。その子、今どうしてるの?」

「車に轢かれた場所に出るって噂になってました。かわいそうなので近寄れません」


 その6


「中学に入る時、親が教育熱心だったので、私立の中学に入りました。勉強が大変でした。学校のトイレの壁には、”勉強が辛い、死にたい”という落書きもありました。授業についていけないとか、ストレスで学校をやめる人が学年で数人はいます。本当に自殺してしまう人もいました。自分がいた時も、学校で飛び降りがありました。その子が屋上から落ちた時は、下から見ていた子がいて、PTSDになってしまいました。


 自分も勉強についていくのが大変でした。授業中、窓の外を見ると、上から人が落ちて行くのが見えるようになりました。ものすごいスピードで落ちるので、制服の色くらいしかわかりませんでしたが。見えていたのは自分だけですが、落ちたあたりに、自殺した子の幽霊が出るという噂がありました。わざわざ見に行く人もいましたが、自分にはよく見えていました。屋上、落ちて行くところ、落下した地点、それぞれで見たことがあります」


(返)「大丈夫?トラウマになってるんじゃない?」


「はい。学校に行くのが怖かったです。自分も引っ張られそうになりました。でも、それから週カ月後に、別の人が飛び降りしました。多分、連れて行かれたんだと思います。それから、屋上は立ち入り禁止になりました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る