第2話 書き込み1
雷魚さんという人は、霊感があったらしい。
その1
「自分は物心ついた時から霊感があって、人には見えないものが見えることがあった。一番最初の記憶として覚えているのは、布団に寝かされていて、手足をバタバタさせながら、天井をじっと見つめていた頃のことだった。赤ちゃんだったのかなと思う。隣にもう一人赤ちゃんが寝ていた。お互いを見つめ合っていると、相手がにっこりと笑う。そのことを覚えているんだけど、親に話すと、ベビーベッドに赤ちゃんを2人寝かせたことはないと言っていた」
(返)「めっちゃ怖いね!もしかして亡くなった兄弟とかいない?」
「母親は流産したことはあったみたいだけど、生まれてから死んだ兄弟はいません。もしかしたら、鏡でも見てたのかもしれないと思って、それも聞いてみたけど、昔は赤ちゃんに鏡を見せるのは縁起が悪いと言われていたから、やったことがないと言ってました」
現在はでは、赤ちゃんに鏡を見せて遊ばせたりするようだが、昔は鏡は縁起が悪いと言われていたようだ。赤ちゃんは、この世に生まれて来てから日が浅いから、鏡を通じてあの世と交流できる。だから、鏡を見せると、あの世に連れていかれると言われていたらしい。これは昔、乳幼児の死亡率が高かったことから言われていた迷信だろう。でも、気持ちの悪い話ではある。
その2
「これも自分が小さい頃の話です。一人っ子だったので、お母さんが遊んでくれない時は、いつも、この世の者でない子と遊んでいました。名前は桐ちゃんと言っていました。自分と同じくらいの年齢のおかっぱの女の子です。顔は覚えていません。2人で、積み木をやったり、クレヨンで絵を書いたりしていました。桐ちゃんは乱暴で、おもちゃを独り占めしたり、取ったりする子でした。嫌だったけど、いつも来るので遊んでいました」
(返)「桐ちゃんはどこから来るの?」
「いつもベランダからそっと入ってきました。お母さんが来ると逃げて行きました。うちは4階だったから、ベランダから外には出られません。それに、いつも足元が靴下でしたが、ベランダを見ても靴はありませんでした。だから、あれは幽霊だったんだと後で気が付きました」
その3
「これは幼稚園に入ってからのことです。幼稚園があまり好きではなくて、活動をしていても、飽きてしまい、自分だけキョロキョロしていました。すると、いつも部屋の隅に灰色の男の人が立っていました。大体、毎日いました。その人のことは、誰も気が付いていないみたいでした。その人は背が高くて、猫背でした。なぜその部屋にいたのかはわかりませんが、いつも怖いなと思っていました。
昔、園バスのドライバーだった人が、運転中に心臓発作で突然死したことがありました。その人だったのかもしれません」
(返)「幽霊はいつも見えるの?」
「子どもの頃は毎日見てましたが、今はいつもじゃありません。でも、2日に1回は見てます。1日に何回も見ることもあります。見ない日は全然見ません」
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