おまじない
僕は死にかけたことがある。
中学3年の冬、僕は同級生の
「大事な話。珪のことをもっと知ってほしくて、テツくんのことももっと知りたいの。珪はテツくんのことが大好き。テツくんと付き合いたいなあ」
珪のことは大事だったし、断る理由もない。こうして僕と珪は付き合うこととなった。
カップルとなった僕らが最初にやったのは、ライフスタイルのすり合わせだった。
何となく、一緒にいられる時間もわかるようになって、アポを取ったりすることもなくなった。
もはや行くところまで行った。
新たに芽生える命のことを考えたりもしたけれども。
そして、最高のリアルがやってきた。
大地の怒りに、僕らは抗えない。
ただ
天井が落ちてきて、僕は下敷きとなった。
さようなら。父さん、母さん、珪。願わくば来世も親子でありますように。願わくば来世も恋人でありますように。
しかし、僕は死ぬのを許されなかった。
傷だらけの珪の姿は、そこにあったからだ。
「生きて」
崩れ落ちた。
僕の夢、僕のたからもの。
僕は、ありとあらゆる涙腺で泣きじゃくった。
僕は、ありとあらゆるのどで
僕の中に珪は生きているはずだと。
しかし、勘違いするな、珪は死んだ、珪は死んだんだと。
さりとて僕はマルクス主義者としての才能を持っている。
「長崎さんは君の中にいるよ」
そんな
珪よ。
この滅びた世界に、僕を置き去りにした珪よ。
生きてって、どないして?
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