事件の先触れ
「だから、
「
「知ってるさ。僕が言いたいのは、おまえはいつ転校したんだ?」
「すでにご存知のことと思いますよ」
「なるほど。おまえが転校した時期を推定するのに必要な情報を、僕が知っているのをおまえが知っている、という意味でいいんだな?」
「さすが、お手厳しい方ですね」
「セリフ、そのまま返したるわ」
整理しよう。
命題二、瑞紀によると、僕は死者甲のことが嫌いではなかった。
命題三、僕は好きな人が少なかった。
推論一、僕が人を死なせたことを知った瑞紀は、僕から遠ざかるために転校した。
反論一、瑞紀が僕に接触してきたことが推論一と矛盾する。
命題四、瑞紀によると、僕にとって死者甲はどうでもいい人。
命題五、瑞紀によると、死者甲にとって、僕はかけがえのない存在。
命題六、瑞紀によると、僕は別のことに夢中で、死者甲は眼中になかった。
命題七、瑞紀によると、死者甲は絶望して、腕を切った。
推論二、瑞紀は僕を断罪するために接触してきた。
命題八、僕は、悪魔の証明を試みた人物を知っていた。仮に
命題九、瑞紀によると、人物乙は死者甲を愛した。
推論三、人物乙の差し金で瑞紀は僕に接触を図らった。
命題
命題
補足説明、二中に関する情報。
二中はどんな学校だったかという話をすると、比較的に新しく建てられた公立中学校だった。
少子高齢化が進んでいた日本において、若者人口が年々増加傾向にあった
この地は、16世紀以前に「
僕が新入生として入学したのは2008年。新しい中学校は、開校から6年目を迎えた。実験大好きな教育者たちは、隣町に位置する名高い私立
僕個人の感想を述べると、中学時代の生活はさっぱりした味だった。学校行事に消極的だったし、何かに打ち込んで
「結論、二年の二学期の終わりに、おまえは転校した」
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