第4話 私こそ邪神で名ヒロイン
第4話
リナside
この邪神の力は圧倒的だった。
最初は弱かった。
勇者様に普通に斬られ、私の魔法を浴びて傷付き、血を流して煩い位に涙を流していた。
そして、鳴き声かの様に『妬ましい』と叫ぶのだ。
だから、私達は油断した。
魔王を倒した私達なら負けないと驕ってしまった。
だが………
『君が最後だぜ、賢者な幼馴染ちゃん?』
………それは少しずつ覆されていった。
この邪神は武器も魔法を使わず、素手と蹴りだけで戦っていた。
それなのにも関わらず、私達は少しずつ押されていったのだ。
………まるで、彼女が強くなっているかの様に。
『はは、他の仲間達は殺られちゃったから、後は私の薪になるだけだね♪』
「薪?」
『そうだぜ?言ったでしょ、私は燃やす事しか出来ないってさ!』
最初とは見比べにならない程の速さ、強さで拳を放ってくる彼女。
私はそれを躱しながら、魔法を射っていく。
彼女はそれを浴びながら、傷付きながらも攻撃を止めない。
このままだと、ジリ貧だ。
『はぁはぁ、痛いなぁ。今まで燃やすのをサボってたせいで、死にそうだよ。君の強さは君の努力の賜物だろう?いやはや、そういう努力を出来る強さというのも妬ましい物だね。』
「はぁはぁ、煩い。早く倒れ………なさいよ………」
「くっくっ、それは僕の台詞さ。そういうズルい所も実に妬ましいよ!」
だが、相手も確実に削られていた。
倒れた勇者様達のお陰だろう。
彼女からダメージの重なりが見て取れた。
………だが、少し可笑しい所もあった。
疲れは見て取れるのに、速さも強さが上がっていくのが止まる気配がないのだ。
どんどんと際限なく成長していく。
これじゃあ、私が耐えきれない。
一体、何が………
『ふふ、考察してるのかい?何回も言った筈だぜ?僕は燃やす事しか出来ない。薪とも言ったね。じゃあ、ヒントだ。攻撃は一旦止めるから周囲を見なよ。』
言われた通りにするのも酌だが、気にはなっていたので周囲を見る。
其処には………
「えっ、嘘………」
まるで、枯れたかの様に細々と痩せた川。
荒れ地かの様に変わり果てた地面。
これじゃあ、まるで………
「………誰かに搾り取られた?」
『ピンポンピンポン、大正解♪僕の力はね、周りから少しずつエネルギーを吸い取るそして、それを燃料にして強くなる。たったそれだけの能力さ!あっ、非生物が優先だから、君達のエネルギーはまだ吸ってないから安心してね!』
成程………だから、コイツの成長が止まらなかったのね。
『ぶっちゃけるとさ、スタミナも根性とかも序盤で尽きてるんだよね。僕の能力で無理矢理に誤魔化してるだけでさ。僕が邪神で良かったよ。人間だったら直ぐに死んでるぜ。まぁ?邪神最弱だからもう、本当に死に損ないなんだけどね?』
それなら………
「さっさと死ね!」
『それも、僕の台詞だよ!実に妬ましいね、君は!』
………全力でこの最後の一撃を喰らわせるだけだ!
続く
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