第17話 無自覚SUBWAY
インターホンが鳴る音で朝を迎えた。
「んっ……あれぇ、陽菜ちゃん来るの早いね……」
「まだ朝だし多分幻聴だろ」
シーツを被って二度寝、休日の朝くらいはゆっくりしたいよな。
そして再びのインターホン。
「美緒、お前なんか頼んだか?」
「ん〜……セクシーランジェリーの配送頼んだけど今日じゃないと思う」
なんつーモノ頼んでんだ……って思ったけど、もうなんか今更な気もする。
インターホンではなく、今度は扉を叩く音がした。
「和泉先生ーっ!早見です」
え、やっぱり早見さんなのか。
ってことは……
ベッドの傍に置いてあるアラーム時計を見た。
え……十時半……?
「美緒、もう朝〇ックの時間終わってるぞ!」
この一週間でわかったことだけど、美緒は直接時間を伝えるよりもこういう風な言い方をする方が反応が良かったりする。
「え、もう十時半!?」
美緒はガバッと起き上がった。
そしていそいそと下着とかを付け始めた。
とりあえず早見さんにはもう少し待っててもらうか。
インターホンモニターの前で早見さんに断りを入れておく。
「早見さん、今起きたばっかりだからもうちょい待っててくれないか?」
「いいけど……ちなみに何で?」
「今、何も身に着けてない」
早見さんの質問に答えると帰ってきたのは沈黙だった。
何がともあれ待っててくれるのならいいか。
「美緒、外行きの服を着といてくれ」
「いいけど何で?」
「今日は趣向を変えてみる」
昨日も調理で今日も調理じゃ早見さんも飽きるだろうしな。
◆❖◇◇❖◆
というわけで地下鉄に乗っての移動だ。
「随分と乗客多いな」
「ゴールデンウィークだからかな」
早見さんがため息混じりに言った。
列車がターミナル駅に入りさらに人が乗り込む。
「ちょっと詰めた方がいいかもな」
滅多に空くことの無い進行方向左側の扉に二人分のスペースを確保すると、俺は二人を押し潰さないように壁に手をついて空間を確保した。
「キツイかもしれんが許してくれ」
帰りもこれかと思うと目的地に着いてさえいないのにため息が出るな。
「ねぇ……これ壁ドンじゃない?」
「いや〜ちょっとドキドキしちゃうね」
何を言ってるかはよく聞こえないが、二人は何か囁きあっていた。
早見さんがチラッと俺の顔を見るとどういうわけか俯いた。
もしかしたら人混みに酔ったのかもしれないし体調が悪いのかもしれない。
「どうした?体調でも悪いのか?」
他の人の迷惑にならないようにそっと小声で早見さんの耳元で問い掛ける。
すると早見さんはビクッとなった。
「だ、大丈夫だよ!むしろ和泉くんが近いとその……」
俺が近いと何か問題なのかもしれないな。
やっぱり恋愛関係にもないのにこの距離は近すぎたのかもしれない。
今日の外出はやめた方がよかったのかもな。
「不快な思いをさせたのならすまん」
一応、謝罪をしておいた。
「そ、そんなわけじゃないけど!」
食い気味に早見さんは否定した。
すると美緒が俺の首に手を回した。
「無自覚なのは罪深いよ」
耳元で美緒はそう囁いた。
「なんのことだ?」
美緒に訊いたところで列車は減速に入った。
そして車両が完全に停車するとドアが開く。
どうやら目的地の傍の駅に着いたらしかった。
◆❖謝辞❖◆
昨日投稿の話で累計1万PV行きました!
稚作であるにも関わらずこんなにも読んでいただけていることに感謝の念が絶えません。
本当にありがとうございます。
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『突然ですがエロ漫画家の義母と義妹が出来ました〜おまけにヤンデレ元カノが復縁を迫ってくるんだが?〜』
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