第9話 衝撃の告白
◆❖早見さんside❖◆
最近気づいてしまったことがある。
つい先日、スーパーでインスタント食品を買い漁っていたあの新妻さんのお昼ご飯が弁当になったのだ。
それだけなら、改心したのかなぁ?とか思うんだけどそれだけじゃなかった。
そのお弁当の中身が和泉くんのお弁当と同じだったのだ!
気になったことがあると調べずにはいられない、それが私の性分。
だから思い切って聞いてみることにした。
「ねぇ新妻さん、最近弁当にしたのね!」
まずは確信をつくのではなく地固めしていくような質問を心掛ける。
今日のお弁当も彩り豊かで綺麗だ。
和泉くんは男子なのに私の女子力を軽く凌駕しちゃってる……。
「そう、インスタント食品はダメだって言われちゃってね?」
聞かれるのが嬉しかったのか、新妻さんはニコニコしながら答えてくれた。
「誰かに作って貰ったりしてるのかな?」
和泉くんが作ってるんだって勘づいてはいるけど、何も知らない振りで尋ねた。
「和泉くんが作ってくれてるの」
なんの躊躇もなく新妻さんは答えた。
「ゴホッゴホッ」
その声が聞こえたのか、新妻さんとは通りを挟んで向こう側にいる和泉くんが
「おいおい
一緒にご飯を食べていた呑気バカの
「和泉くんのお弁当は美味しい?」
見るからに美味しそうなのでこれも気になって聞いてみた。
「私の舌はインスタントしか知らない馬鹿だけど、比べ物にならないくらい美味しいよ!」
「あはは…インスタントと比べられてもわかんないけど」
比較対象になっているものがあまりにも違いすぎてイマイチよく伝わってこない。
「食べてみて?」
新妻さんはお弁当の中から卵焼きを箸で掴むと「あ〜ん」といって私に差し出した。
「いいの?」
「いいよ」
はむっとそれを口に咥えて咀嚼すると口の中いっぱいに出汁の味と卵の優しい味が広がった。
私どころかうちの母も負けてるよこれ……。
「美味しいでしょ」
「うん、すっごく」
これから私、和泉くんのこと「お母さん」って呼ぼうかな?
「和泉くんの料理を毎食、食べれて幸せなの」
うえへへ〜と、変な声を発しながら新妻さんはそんなことを言った。
「え……毎食……?」
そんなこと、同棲でもしてなきゃ無理よね?
でも高校生じゃ同棲は有り得ないし……。
ラノベとかによくある義兄妹だったり……?
あるいは二人の親御さんの仲が良くて、近所で……とか?
でも新妻くんは一人暮らしって言ってたし……どういうこと?
「そう毎食!」
「それってどういうこと…なのかな……?」
そう尋ねると新妻さんは私の耳に口を寄せて言った。
「同棲してるって言うのかな……?」
「うえぇぇぇッ!?」
新妻さんの答えは私の予想の斜め上を行くものだった。
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