終わりの始まり

「世話焼かせんじゃねーニャ」


「うるさい!俺はもう転職が決まってるんだ!なんでこんな目に・・・!」


「泣き言いってんじゃねーニャ」


「・・・お前らのせいだ」


「あん?」


「お前らがいなければ・・・!今すぐ俺をここから出せ!」



猫は思案した。


ここでカチョウを殺してしまおうか?



〈ゴゴゴゴゴ・・・・〉


またもや地震だ、丁度良いな。


瓦礫に巻き込まれたことにして・・・・。



〈ピリリリリリ〉



内線電話が鳴った。


出なければカチョウを殺した場合、怪しまれるだろう。


選択肢はない。



【●●●だニャ】


【大変です!今の地震で1階が崩れかかってます!】


【ニャんだって?!】


猫は周囲を見渡し、冷静に判断した。


【すぐに階段を昇るニャ!上は崩れてないニャ!】


【ええ!?わかりました!すぐにみんなを誘導します!】



「崩れる?何バカなこと言ってるんだ・・・?」


「だったらテメーの目で確かめるニャ」



険悪なまま階段に向かうと、頭がおかしくなりそうな光景が広がっていた。



「・・・・みんな無事かニャ!」


「なんとか間に合いました。●●●さんの指示がなかったら今頃・・・」


「な、なんだよ、これ・・・」


カチョウはその光景に慄いた。


階下へ続く階段は、正面入り口と同様に見えない壁が行く手を塞いでいた。


向こう側の景色は、崩れかけた瓦礫が中空で静止していた。



「ヤマさんがいねーニャ・・・・?」


「すみません・・・ヤマさんはみんなを逃がすために・・・」


「なんニャって?!」


「でも妙なんです」


「なんだかヤマノウエさん、消えたように見えたんです」


「・・・実は、僕もそう見えました」

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