彼ノ名

【ああ・・・そうだ・・・僕は・・・】



光の中では猫の『ひとつ』が、絶え間なく流れるフィルム映画のような映像を観ていた。


まるで二次元に閉じ込められたかのような感覚だった。



「●●●、本当に辞めるのか?」


「すみません。もう決めたことです」


「いやぁみんな寂しがるぞ。特に女性陣はなぁ」




「いいのか?ハタダイさんのこと」


「これから独立するんです。不安定な身分じゃ責任取れないすよ」



「●●●さん、辞めちゃうんですか?」


「ええ、あんまり話せませんでしたね。それだけが心残りです」


「えっと・・・あの・・・」


「ん?なんですか?」


「いえ・・・なんでも・・・・ないです」



僕たちは同じ気持ちだと、視線で感じ合っていた。


それでも、この気持ちは伝えない方が彼女のためだ。


彼女もそれをわかっているのだろう。


それ以上追求してこなかった。




さようなら・・・・僕の恋・・・・。






「・・・・●●カさん!」







「・・・・・タ●カさん!!!」









「・・・・・・タナカさん!!!!」








「ふふ、変な顔・・・・」

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