エピローグ(Happy Birthday)
「気が付きましたか?」
目を覚ますと、正面口にいた。
「無事でよかったです、地震があったんですよ」
周囲は人で溢れ返っているが、何故か目に入る者がいた。
タナカさん、設備のリンドウさんに、確か・・・ヤマノウエさん?
あとは・・・アサギさん、ヤタニさん、サンジョウさん、男の人は・・・カチョウさんだっけ?
「心配しましたよ。もうすぐ救急車も来ます」
なんだか・・・・夢を見ていたような・・・・・?
「・・・・タナカさん、元に戻ったんですか?」
「・・・・元に戻るって?」
「・・・・なんでもないです」
しかし私は、夢を夢のままで終わらせるのもなんだかなぁ、という気持ちになった。
「あの・・・・変なこと聞きますけど」
「なんですか?」
「なんていうか・・・・私に・・・・言うことないですか・・・・?」
「・・・・ありますけど・・・・・引かないでくださいよ?」
「・・・・はい・・・引かないけど多分・・・・喜ぶと思います」
〜1年後〜
ようやく復旧した百貨店が再開して3ヶ月。
私は相変わらずジュエリーショップで働いている。
彼、『タナカ リョウ』さんは 百貨店を去って行った。
今は個人事業主として仕事をしている。
「ただいま〜!」
「おかえり、エリナさん」
「ごめ〜ん!残業が長引いちゃってさ!」
「わかってるよ、ご飯できてるよ」
「おお、さっすが〜」
「さ、着替えたら一緒に食べよう」
「リョウくん、なんだか今日は嬉しそうだね」
「・・・・わかってて聞いてるでしょ?」
「私に隠し事が出来ると思ったら大間違いです!」
「あのさ・・・・これ・・・・」
小さな箱を取り出すと、顔を赤くしたままハタダイの前で開けた。
「はい・・・・改めて・・・・よろしくお願いします」
仮面はもう、被っていない。
迷宮だって、私たちでぶっ壊してやった。
素顔で、真っ直ぐに、これからも。
いつかまた迷うことがあっても、大丈夫さ。
ふたりなら、きっと大丈夫。
fin
仮面の迷宮 デラシネ @Deracine13
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