第26話 召喚の儀

エレナントがカイによって滅ぼされる少し前、ヴェルカ達が神龍を撃退した頃。

ヴェルカ達4人は、神龍によって殺されたリーシアの葬式を終え、レジウム神殿に向かっていた。

パーティーの人員を補充するためだ。


神龍だけではないが、強大な敵は召喚者と転生者以外に倒すかとの出来る人間はほぼいない。

だが、そう簡単に召喚者と転生者が見つかるわけではない。

ただし、召喚者に関しては自分から召喚さえ出来れば、いくらでも集めることが出来る。

神殿内の最深部にある祭壇で、ガリアが召喚陣を描いていた。

「さて、これで召喚陣の準備は出来た。本当にヴェルカが召喚の儀をやるん?大丈夫なん?」

「たーぶん大丈夫でしょw」

「失敗しても知らんぞ。」

不安要素しかないヴェルカを心配するガリアだった。


ヴェルカは、召喚陣の前に立った。

「2つの異なる世界を結ぶ扉は開かれた。我の求めし存在をこの世界に導かん。サモンズ・ディアライズ!!」

ヴェルカが召喚の呪文を唱え、召喚陣が紅く光りだした。

召喚陣の紅い光は、閃光となりヴェルカ達を包み込んだ。

閃光と同時に爆発音もした。

そして、光が消えて視界が戻ると、ヴェルカの目の前にあった召喚陣は消えていた。

そして、ふわんと独特な匂いと同時にネバっとした感触がヴェルカ達を襲った。

「ん?なんやこの匂い。後なんかネバネバしとるんだけど...」

「なぁ、ヴェルカさ...」

「どしたガリア?」

ヴェルカがガリアの姿を見ると、顔は直視できないほど怖い顔をしていて、体やしっぽに大量の納豆がガリアに降りかかっていた。

慌てて周りを見ると、エレーナとジャンも同じように納豆まみれで、自分の姿も見ると自身も納豆まにれだった。

どうやら、ガリアの心配は的中したようだ。

「なにしてくれとんや! だれが納豆をピンポイントで召喚しろって言ったよ。人召喚しないでどないすんねん!!」

「すんません...」

「とりあえず私風呂に入ってくる。もうあかん、いやや!」

そういって、ガリアは神殿の1階にある大きな浴場に走っていった。

「狐さん確か納豆嫌いだったよね...」

「そうだったの?」

「まぁ、私も好きじゃないけどね」

「んー。次は失敗しないように頑張るわー。」

「次失敗したら私とジャンのげんこつが飛んでくるからね」

「う...頑張ります」

ヴェルカは召喚の儀を始めようとしたが、召喚陣が消し飛んでいたことに気が付いた。

「そういえば、召喚陣消し飛んでたからできねぇわww。んー、じゃあ、みんなで急いでお風呂行こうか。」


ヴェルカ達はガリアの後を追うように、全力ダッシュで浴場へ向かった。



翌日、ガイアが再び召喚陣を引き直し、今度はガリアが召喚の儀を行うこととなった。

そして、失敗した。

今度は、大量のミミズが空から降り注いだらしい。

4人の反応は...聞くまでもないだろう。

ガリア達は1週間程、レジウム神殿に滞在することとなる。

そして、ヴェルカ達がエレナントがカイによって滅ぼされたことを知るのは、そのまた1週間後になるのだった。

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