破滅神龍災厄編
第21話 終わりの始まり
中都市イーの悲劇から5ヶ月後。
リーシア達の怪我は完全に回復し、ヴェルカ、ガリア、リーシア、ジャン、エレーナ、セルカで、前のように人類存亡を阻止すべく、魔王の城への旅に出ていた。
今は力をつけるため、王都から北に65キロ離れた小都市レイスを拠点として、日々魔物と戦う日々を送っている。
イーの悲劇以降、ヴェルカ達を始め誰もカイの消息は掴めず、イシスはカイの首に金銭9億枚の賞金をかけ、全国に手配書が張り出された。金銭9億枚という国家予算の5分の1に相当する大金に、賞金稼ぎを始め冒険者などがカイの行方を追った。
だが、誰1人として彼を見つけることが出来ていない。それもあってか、街から逃げ出す住民や、家族を守るために軍に入隊する若者が増加し、どの街からも人の数が減り、以前のような活気はなく、街は静けさが支配していた。
冒険から帰ってきたヴェルカとガリアが、街の中央通りを宿に向かって歩いていた。
「そういえば、ここ数日でまた人が減ったんじゃないかなぁ。」
「それはそうでしょ。カイの馬鹿野郎がイーを消し飛ばして以降若いやつが兵隊に行っちゃってるんだからさ。」
「まぁそうだよなぁ〜。」
2人で会話をしていると、美味しそうな匂いが漂っているのをヴェルカが気付いた。
「なんか凄いいい匂いがしてる…どこからしてるんやろう?」
「さっきの戦闘でノルを倒した時に、死に際にアイツがばら撒いた胞子で鼻が詰まってて、匂いが分からん。」
「あ、あそこかな?」
ヴェルカが匂いを辿っていくと、小さな露店を見つけた。
匂いに釣られてきたヴェルカに露店商が気付いた。
「いらっしゃいいらっしゃい〜。西はアラビナから参りましたスペアバブはいかがですか〜。豚の骨付きの肉を炭火でカリッと焼き、骨から焼けた肉を削いで、パンの上にのせ、そこに炭火で焼いた牛ヒレをサイコロ状にしたものとサラダ菜とレタスをのせ、少しピリッとするからしマヨネーズをかけて、パンを乗せた豚と牛の旨みと野菜のフレッシュさを併せ持った料理だよ〜。そこのお姉さん方、いかがですか〜?」
「おじさん、それ2つ‼︎」
「あいよ‼︎ 出来るまでちょいと待ってておくんなさい。」
ヴェルカが注文を済ませると、ガリアが汗だくになりながらヴェルカに追いついた。
「はぁ、はぁ…ヴェルカ…、匂いに釣られて急に全力で走っていかんでよ…」
「それはすまんて、でもおかげで美味しそうな出店を見つけたし、ガリアの分も頼んどいたから〜^_^」
「何勝手に頼んでくれちゃってるの?」
「大丈夫大丈夫、奢るからさ〜」
「そういう問題じゃないんだが?(゚ω゚)」
そんな会話をしているうちに、スペアバブが出来上がったので露店商が奥の調理場から持ってきてカウンターに並べた。
「2つで銅貨46枚ね〜。」
ヴェルカが銀貨1枚を出すと、露店商がお釣りとカップに入った黄色と黒の物が入ったものを出してきた。
「これは?」
「おまけとしてプリンもつけとくよ〜。スペアバブ食べた後のデザートとして食ってくれ‼︎」
ヴェルカはお釣りとスペアバブ2つとプリン2つを受け取ってガリアの元へ行った。
「えへへ〜おまけしてもらった〜」
ヴェルカはそう言いながら、ガリアにスペアバブとプリンを渡した。
ガリアは宿に帰ってから食べようと、カバンの中を整理しながら、カバンの中にスペアバブとプリンをしまっていたが、その間にヴェルカはスペアバブをたいらげ、デザートのプリンを食べ終えていた。
そして2人は宿へと帰っていった。
ヴェルカ達がそんなほのぼのとした時間を過ごしている頃、イシスの東にあるインディア王国の北端のとある寺院に、とある男の姿があった…
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