第18話 再会と最厄

リーシアの目の前に、やつれた白い狐がたくさん現れた。

リーシアからは食べ物が少なくて困っているように見えた。

「食べる物がないの?」

そうリーシアが聞くが、話が通じない…

よくみると下痢の跡や吐血の跡などが多少隠されていたがあちらこちらにあった。

どうやら何かしらの病気が蔓延しているようだ。

丘の右下にいた子供の白い狐の側に半分くらい齧られている少し色が濃い緑青が混じった木の実が落ちていた、

それを見てリーシアは目を疑った。

その木の実はカートルという木の実で、通常は毒が無い木の実だが、銅と交わると毒素が発生し濃い緑青に変色するという代物だった。

銅に反応したカートルを食べると最初はなんともないが、食べてから1年程すると下痢・嘔吐・発熱に襲われて発症から2週間程症状が続き、死に至ることをリーシアはエレーナと一緒に王国の図書館で勉強していた。

それの対処法は、銅と反応して発生するイドリニンという毒素を中和する木の実、アークチョーカーの完成させたものを使う。

調合レシピは、外側を剥いたアークチョーカーをウォーカというお酒に1日漬け込んだあと天日干しで乾燥させて粉末にしたものを2割と、皮を剥いて粉末にしただけの物を2割と、皮を剥いて粉末状にして2時間焙煎した物を4割と、粒のまま皮を剥かないで5時間焙煎しだ後に皮を剥いてウォーカに1日漬け込んだ後に天日干しして粉末にした物をを2割を調合して作る薬を1週間朝昼夜の毎食口径投与することによって回復させるというものだった。


リーシアは急いで白狐達のためにアークチョーカーを探しに森をかき分けて入っていく…。





時間軸はリーシアが白い狐、白狐(ハク)と出会う少し前に戻る。

奈落に落ちたヴェルカ…。



奥から足音が聞こえてた。

足音が近付いて来るにつれ、空気が張り詰めて重くのしかかって来るのをヴェルカは感じた。足音はどんどん近づいて来る。

唾をゴクリと飲み込み、ヴェルカは身構える。

ヴェルカの光の魔法で照らされている所まで足音が進んでくると、徐々に灯りの中に姿が見えてきた。そこには思いもよらない人物がいて、ヴェルカは驚愕した。

「な、なんでお前が…」

ヴェルカは驚きの余り、体が固まり、思わず持っていた荷物を手から落としてしまい、言葉が漏れ出した。

「あぁ、私死んだのかな。目の前にカイがいるってことはそうだよね…」


なんと、ヴェルカの目の前に、黒い鎧とマントを纏ったカイが立っていたのだ。

髪は黒髪から白髪に変わっていたりと少し容姿が変わっていたが、紛れもなくカイだった。

「夢でも幻想でも死後の世界でもなく現実だ。勝手に世界を死後の世界にするなっての。」とカイがヴェルカにツッコミを入れる。

それによって現実逃避状態から少し引き戻されたヴェルカは

「ほ…本当にカイなの⁉︎」

とかなり疑いながら尋ねる。

「その通りだ。俺はカイだ。」

と返事が返ってきた。

ヴェルカは頷き、そして

「死んだはずじゃなかったの?」

と聞く。

するとカイは少し間をおいて、

「あの宿で死んだ筈だった。だけどこうして生きている。それだけさ。」

「まぁ、生きてるならよかった。それにしてもなんでここに居るの?カイも上の森から落ちてきたの?」

安堵しながら聞いてくるヴェルカに、カイは少し顔を暗くして

「あるものを探して探索していたらここに辿り着いた。とりあえず、ヴェルカを上まで送って行くよ。」

と答えた。

カイは詠唱を始めた。

ヴェルカは少し驚き、「ちょっと急やな。なんか急いでる感じ?」とカイに声をかけたが、返事はなかった。

「地を結ぶ流線となりて地を移動し、我が意志に応えよ。」

カイの詠唱が終わるとヴェルカの体が光り出した。

「こ、これは…」ヴェルカは困惑しているとカイが「この国と騎士団やセルカには気をつけろ。じゃあな。」。

カイは話し終わったと同時にヴェルカを地上に転移させた。


「…。また会わない方が互いの為ではあるが…。まぁ、また会う事になるだろうな。」。カイはそう呟き、暗闇の中に消えていった。



地上に転移させられたヴェルカ。

目の前に猫と戯れるガリアがいた。

「かわいいにゃー。そんなにくっついてくると連れて帰っちゃうにゃーよー。」。

ガリアが猫に普段見せないような満面の笑みを浮かべながらヴェルカに気付く事なく猫に話しかけていた…





フォロー、ハートボタン、星マークを頂けますと制作の励みとなります。よろしくお願いしますm(_ _)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る