第15話 離れる

ジャンの為に薬の材料を取りに行く事になったヴェルカ達一行。

ターシャ村から約60キロ南にあるウトゥタクモスィー山脈に向かう事になった。

この山脈には古代遺跡などがあちこちに存在しているとのことで、遺跡の近くにあるイーという中堅都市の有力商人であるルーウェンが遺跡に目をつけ、山脈の入り口付近にあるアモンラー遺跡を1年前より整備し観光地にして利益を出している。また、それ以外の場所にある遺跡は所在が分からなかったりするなど未開の遺跡が沢山あることから探検家からは"探検家の夢"と評され、毎年多くの探検家が山脈に入りそしてその4分の1程が山脈の魔物によって帰らぬ人となるそんな場所でもあった。


ターシャ村の出来事から2週間が経ち、エレーナの怪我が回復して復活したエレーナは、シュッとした凛々しい容姿となって戻ってきたジャンの薬を取りに行く為、馬車でターシャ村からウトゥタクモスィー山脈に向かって出発してから1時間程立った頃…

「えー、ウトゥタクモスィー山脈ってそんな危ないとこなんか⁉︎」

ヴェルカがエレーナからウトゥタクモスィー山脈のことを聞いて騒いだ。

そこに、馬車の奥から「ちょっと…頭に響くから静かにして…」と死にそうな顔をしたガリアが細々とした声でヴェルカに釘を刺した。

それを見て、リーシアが少し甲高い声で

「ガリア大丈夫〜?」と少し煽り気味なトーンで馬車の上で仰向けに横になっているガリアを横に小刻みに揺らした。

「やめろ…死ぬ…」

今にも途切れそうな声で、ガリアは顔が更に真っ青になっていきながら、リーシアを止めようとしたが、すぐに吐き気の限界に達してしまったガリアは耐えきれずに…

馬車内でキラキラ祭状態となってしまった。

「大丈夫⁉︎マジでごめん。そんな事になるとは思わなくて…。ちょっと待ってて。」

リーシアは慌ててガリアに謝りながら、酔い覚ましのキノコを能力で生成してガリアに飲まそうとした。

それに気づいたエレーナは「ちょっ、リーシア待って」とリーシアを静止しようとして馬車の奥にいるリーシアの肩を掴もうとしたが、一歩間に合わず、リーシアはガリアに生成したキノコを食べさせてしまった。

そしてガリアはリーシアに生成されたキノコを食べさせられてから10秒程経つと、口から泡を吹き始めた。

「あれ?これ酔いに効いたかな?」

とリーシアは不思議そうな顔をしながらガリアのことを観察する。

これはやばいんじゃないかと思ったエレーナは、ガリアの身体状態を能力でスキャンすると、猛毒に侵されていることが分かった。

その後、エレーナの解毒と体力回復の治療によってガリアはことなきを得て、そんなこんなで多少のトラブルがあったが、ガリア一行はなんとか夜までにイーに到着することが出来た。



日が真上まで登った頃、目的地に到着したことで、馬車から解放され乗り物酔いから復活したガリアは、リーシアへの怒りが爆発した。

そして怒るガリアから発せられた覇気で、地震でいう震度3程の揺れの地響きが起きていた。

「あのクソリーシアどこ行ったぁぁぁぁ‼︎‼︎」。

そんなガリアを必死にエレーナが取り押さえようとしていたが、怒り狂ったガリアを抑えきれず、すぐに暴れるガリアにしがみつくことがやっとの状態になってしまう。

そしてヴェルカは、ガリアをなだめようとするが、逆効果だったようで、ガリアの怒りをより高めてしまう結果になってしまい、「ガリアを任せた」とエレーナに言って、目的地に到着して直ぐに、忍者のようにガリアの前からそそくさと逃げ出したリーシアを追っていた。

そしてリーシアが逃げた西の方角の街のすぐ近くにある森にヴェルカは踏み行っていた…。



ヴェルカが森に入って1時間。

ヴェルカは来た道すら分からなくなっていた…。

「ここは何処なんだ…。道すら分からなくなっちまったし…。」とため息をつきながら吐露していた。

そして次第に疲労と空腹で足取りもおぼつかなくなっていき、意識も少しずつ朦朧としていっていた。

ふらふらと歩きながら前へ少しずつ進んでいる。

そんなヴェルカの足元で土が少し崩れたような音がした。

「あっ⁉︎」

ヴェルカが歩いていた地面が崩れ落ち、ヴェルカは穴の奈落に落ちてしまう……



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