第12話 そのあと
真っ白い空間にエレーナが横たわっている…
そこにどこからともなく現れた人影がエレーナの方に歩いてきた。
「やれやれ、酷い有様だな…生きてるかー?
」とその人影から声が聞こえた。
その声に気づき目を開け周りを見回すと目の前に黒い装備をつけたカイがいた。
エレーナは思わず『え⁉︎』と普段出さないような大きな声を出した。
そしてそこから起きあがろうとしたが、体が言うことを聞かない…
なんとか起きあがろうともがくエレーナを
カイは見ながらエレーナが横たわっている方とは反対の方向に体を向け、エレーナから目線を進む方へゆっくりと移し歩いて行った。
「待って‼︎」とエレーナが呼び止めるもカイは止まらずにどんどん離れていく。
そしてカイの姿が遠ざかって見えなくなっていくのと同期するように白い空間が眩しく光り始める…
そしてその光が目を開いていられない程の光を放った瞬間、白い所々穴が空いていたり崩れている天井が見えた。
「エレーナが目を覚ました!!」と大きな聞き覚えのある声がエレーナのすぐ右から聞こえた。
右を向くとヴェルカがいた。
そしてその時エレーナは自分がベットに寝ていることに気が付いた。
「あれ…なんで私…ベットで寝てるの?…」とエレーナがヴェルカに尋ねる。
「それは...」。
ヴェルカからそれ以上の言葉が出てこなかった。
頭がフワフワとしている中エレーナは起き上がり、左にある窓から外を覗いてみる。
そして外の光景を見ると、そこには一面に瓦礫、家の燃えた跡の炭や灰が散乱してた。
この街にやってきた時からは想像できないような有様になっている。
「ヴェルカ以外のみんなは?」とエレーナが聞くと、「この建物の中にみんないるよ。」 ヴェルカがなだめるような声で答えた。
そして、「ジャンとかは大怪我してるけど一応命に別状はないってさっきお医者さんが言ってた。」とヴェルカはため息をつきながら答える。
そのあと、少し間が空いて思い出したかの様にエレーナが「そういえば、カイに会った…」と呟いた。
ヴェルカは少し躊躇いながら「カイはだいぶ前に死んだから居ないよ…」と言った。
その日、これ以上の会話はなかった………
次の日、昨晩到着した騎士団が村の警備と復興作業に当たっていた。
全身骨折と深い切り傷を負っていたジャンは、騎士団の医療班の治癒士によって傷を治して貰ったが、骨は治癒術によって治すことが出来ないとのことで王都の治療院に運ばれる事になった。
騎士団に運ばれていくジャンをヴェルカとリーシア、ガリアは見送り、治癒士の治療を受けているエレーナの元へ戻った。
治療士の話によると、エレーナは骨折こそはしていなかったものの、深い切り傷による大量の出血でしばらくの療養が必要になるとのことだった。
エレーナのいる部屋に入ると、天井が少し崩れている部屋に1つのベットが置かれていてそこにエレーナがベットに横になっていた。
ヴェルカ達が部屋に入ってきた事に気づいたエレーナは「しばらく動けないって治癒士さんに言われちゃったよ」と少し取り繕ったような感じで少し笑いながらヴェルカ達に話した。
そこに「これからどうするかなんだけど…」とガリアが話を切り出す……
次回の更新はまだ決まっていませんが、ぼちぼちやって行こうと思いますのでお付き合いの程よろしくどうぞお願いを致します。
kamui
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