フェース遺跡編

第9話 ターシャ村

王都の目の前にはゲオ平原という平原が80km2以上広がっていて、王都から西にあるフェース遺跡の方へ向かって緩やかに下っている。

ヴェルカ達一行はフェース遺跡につながる道を縦8m横幅2mのトラックの荷台のような形の籠上の台車に白いシートがかぶった馬車1台とそれを引く黒と焦げ茶色の馬2頭を中心に前方にジャンとセルカがそれぞれ白い馬に乗って前の警護を行い、馬車の周りを馬に乗った騎士団の団員が中間と後方の警護をしながら進んでいく。

王都から道を進んで20km、夕方の日が沈む少し前にターシャ村という小さな村に着いた。

ターシャ村は人口が200人とそれなりの人の数がいて、フェース遺跡に向かう冒険者やフェース遺跡より南にあるイシス王国第10の規模を誇る都市ダイアに向かう行商人などでにぎわっていて、入り口にある見張りのいる簡易的な門をくぐると、2階建ての木造の建物がずらっと直線状に並んで一階が食料品や武器防具道具など様々なものが売られていて、建物に沿ってろうそくを使ったランプが取り付けられていてとても美しい眺めになっているのをヴェルカ達は見て心奪われていた。

ヴェルカ達は村の中心部まで進んでいくと大きな噴水に行きついた。

そこでは村人たちが水を汲みに来たり、冒険者が集まり交流などをしていて特に賑わいを見せていて、そこで宿の場所や村のこと、フェース遺跡などのことの聞き込みをしてそれによると、村に宿は4件ありその中で村の中心部にある宿が村を一望できることで人気だということを教えてもらい、ヴェルカやエレーナの希望でそこに泊まることになった。

それから荷物を宿の泊まる2階の部屋に置いたりして泊まる準備を終えてヴェルカ達は自由行動で村を観光することにした。

「じゃぁ、ここから自由行動で村を観光してきていいよー。ただあまり夜遅くまで観光しないようにね。」とセルカにくぎを刺されてからヴェルカ達は自由に村の中を歩き始めた。

ただその中で一人ホテルの部屋にこもっているのがいた。

「ガリア、どうしたの?」とベットで寝ていたガリアに問いかけると

「うぅ… 馬車で乗り物酔い起こしてそれをまだ引きずってる…」と弱弱しくガリアが答えた。


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少し時をさかのぼって、ターシャ村に向かっている最中の馬車内。

馬車の中にはヴェルカ、ソルト、エレーナ、リーシア、ガリアが乗っていたが、

ガリアは乗り物酔いで馬車の中で冬眠中の蛇のごとくピクリとも動かない状態で横になっていた。

その中でガリアは「エレーナ、乗り物酔いを何とかする癒しをかけてくれない?」と回復系を担うエレーナに頼んだそうだがあいにく傷をいやす癒ししかまだ使えないとのことで、そのあとのガリアは絶望に沈んだような状態で目をあけながら横になっていたという。


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時間を元に戻ってガリアが寝ている部屋に

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そういえば移動中と宿に入るときにガリアの姿をほとんど見なかったのはそういうことだったのかとセルカは思いながら「お大事に」といって部屋を後にした。

一方そのころヴェルカとエレーナは食べ物屋を物色していた。

「おぉぉぉ!! これおいしそう!!」

ヴェルカが何かおいしそうなものを見つけたようだ。

「嬢ちゃん、これはドゥロットリアっていうものだよ」と店の主人が教えてくれた。

「ドゥ…何とかってどういうものなんですか?」とヴェルカが尋ねると

「ドゥロットリアってのは固焼きにした丸いパンにガーリックバターを塗ってそこに小さく切ったステーキととろけたゴーダチーズを少し添えたものをレタスでくるんだものをのせて上にまたガーリックバターを塗った固焼きの丸いパンをのせたもので1個銅銭200枚だよ、買うかい嬢ちゃん?」と店主が答えてくれた。

「エレーナ~これおいしそうだけど食べる~?」とヴェルカに聞かれて「私も食べる」とエレーナは答えたのでヴェルカはドゥロットリアを2つ注文した。


2人でさっき買ったドゥロットリアを売っていた店にある外に面したベンチで食べていると、そこに小さなピンクの服に薄黄色のスカートをはいた女の子が泣きながら歩いてくるのをエレーナが見つけた。

「どうしたの?迷子?」とエレーナがその少女に尋ねると「お母さんとはぐれじゃっだぁぁぁ」と号泣してしまった。

エレーナはヴェルカに食べかけのドゥロットリアを渡して持っててもらってその少女とその少女の母親を探すことにして村を歩き始めた。

この少女の名前はスグ、4歳で母親とともに王都で兵士として働いている父親に会いに行くために旅客馬車に乗ってダイアから移動してきて、今日はこの村で泊まっていくことになって宿についてからご飯を食べた後に村を見て回っている最中に母親とはぐれたらしい。


「スグちゃんのお母さんはいらっしゃいませんかー?」とエレーナはスグの母親を呼びながら泣いているスグと手をつなぎながら村を歩いて探し回って10分程たった時

「スグ!!どこなの!!」という女性の声が手前の建物の曲がり角から聞こえてきた。

「お母さんの声だ」と泣きながらスグはエレーナの手を放し声のする方向に進んでいく。

ほっとしながらエレーナはスグの後を歩いて追いかけると曲がり角から赤い服装をした

女性が息を切らしながら出てきたところに「お母さん!!」とスグが抱きついた。

「何処に行っていたの、心配したんだからね!!」とその女性は泣きながらスグのことを抱きしめた。

それから少ししてその女性はスグと手を繋ぎながらエレーナの方に向ってきて「娘がお世話になりました。すぐの母です。本当にありがとうございました」とエレーナにお礼を言って、それに続いてスグも「お姉ちゃん、ありがとうね」とお礼を言ったその時、まばゆい光がぴかっと光った瞬間エレーナは衝撃波で飛ばされていて気付くとエレーナの上に小さな腕がのっかっていた。

何が起きたかわからなくてパニックに陥っているエレーナは言葉が出せずにいると後ろから緑の巨体が向かてくるのがエレーナから見えた…




次回(第10話)は9月27日0:00より公開予定...

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