第8話 特訓

カイがパーティーからいなくなって3週間、ヴェルカ達勇者一行はダンジョンには入れるくらいの力を持つようになった。

私はエレーナ、このパーティーでの治癒などを行う助役的立ち位置の人間。

あまりパッとしないし、戦闘とかからっきしで、モンスターと闘うときなんかはいつも後ろにいるんだけど…「なんで後ろにこんなモンスター来るんだよー!!」。

モンスターに囲まれて絶体絶命な中自己紹介なんかやってるなんてもうだめなのかななんて。アルタロスが私に襲い掛かってきた瞬間にジャンがアルタロスを倒して助けてくれた。

「ありがとう」とジャンに礼を言いながら、同時に憂鬱な気分に襲われた。

夕方で、宿に戻って食堂で夜ご飯を食べているときも憂鬱な気分は消えなかった。

「はぁぁ…、なんか私すごい足引っ張ってる感じがするなぁ…」。

「気にしないでよエレーナさん、ジャンとソルトに頑張らせれば問題ないよー」とリーシアが励ましてくれた。「おい」とソルトが突っ込みを入れ、みんなで笑って、騒ぎながら酒を飲んで時間が過ぎていった。

夜ご飯を済ませた後、宿にある温泉に入りに行った。中に入ると「ふぅ、酒飲みすぎたー…」と洗い場でつぶやいているヴェルカが見えた。

体を洗い終わって、浴槽に行くと、そこにセルカがすでに入っていた。

「エレーナ、隣に来ないかい?」と誘ってきたので行くことにした。

セルカの隣で座ると、「エレーナはモンスターを倒せるようになりたいの?」と聞いてきた。「それは…そうなんだけど…」と返すと、「じゃぁ、私とナイフの特訓でもしようか」と言ってくれたので特訓してもらうことにした。

翌日は、パーティーが休みになっていたので、朝から特訓を始めた。

「基本的な動きはいくつか型の種類があるんだけど、その人その人で肉月や関節の動き具合が違うから、エレーナの振り回しやすい型をまずは探してみようか」セルカに教えられながら基礎的なナイフでの戦闘方法を特訓していると、あっという間に夕方になった。

「はぁ、はぁ。つ、疲れたぁ」と言葉が漏れ出した。

「とりあえず、今日教えたことを訓練して十分にできるようになったら十分戦えるようになると思うよ。じゃあ、今日はもう宿に帰ろうか。」

そうセルカに促されて宿に戻った。

宿に戻ると、明日の作戦会議が行われた。

食事の終わった後の食堂では、セルカが明日以降の説明をしていた。「明日は、ゲオ平野の奥にあるフェース遺跡にあるダンジョンに向おうと思う。しばらくは遺跡近くでキャンプすることにするから、明日の出発までに、各自で必要なものは調達しておくこと。食糧とかはもう用意済みだからそこは心配しなくていい。とにかく各自万全の準備をすること。何か質問は?」。

全員説明を聞いて理解しているようだった。

「よし、内容だったら終わり。明日に備えて早く寝るように。」とセルカが締めくくって作戦会議が終了した。


翌日、昼頃一行は王都を出発した。

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