第7話 かけたもの

セルカは悲鳴が聞こえた上の階に向かって走った。

悲鳴を上げていた人を見つけると、「どうしたんだ!?」とセルカが大声で聞くと、「こ、ここに人が倒れてて…」と言われ、見てみるとそこにカイが血まみれで倒れていた。

「おい、どうしたんだ!?」セルカがカイを抱きかかえて激しくゆすったが、カイから返事はなく、ぐったりしていた。

ヴェルカ達もあとから駆けつけてきたので、セルカは「ヴェルカとガリア、急いで騎士団のところに行って事情を話してきてくれ!!」と指示を出した。

しばらくして直ぐに憲兵騎士団が駆け付け、衛生兵が応急処置をしてカイはそのまま医療所に運ばれていった。

運ばれていくカイを見ながら、「いったい誰が…」とセルカは口ずさんだ。

その後は宿で憲兵騎士団事情聴取を受けて、夜が更けたところで誰も一言も触れず、眠りについた。

宿屋は憲兵騎士団によって封鎖され、外部の者は入ることが出来ないようにされた。また、宿に泊まっていた者には部屋で待機させられ、部屋の外には、憲兵騎士団の護衛の元、食事とお手洗い以外の要件で出ることは許されなかった。昼頃、一行は王城に呼び出され、玉座の間へ向かうと、そこには大臣と神官がいた。

王様が重い雰囲気の中、王が口を開けた。「昨日、勇者パーティーの一員であるカイが何者かによって襲われたことは諸君らも承知のことだと思う。その件で今朝早くに医療所から報告を受けた。残念ながら息を引きとったと。」。部屋の空気が一瞬で凍り付いた。

ヴェルカ達の反応は様々だった。

「まじかよ…」とジャンがつぶやいた。

少し間をおいてエレーナが口を開く。「誰がカイを殺したんですか、王様。」

「犯人は今のところは分かっていない。だが、動物の物のような毛がカイの手に付着していたことから、亜人が犯人の可能性があるという報告は受けている。」と王様は答えた。

大臣がそれに続く形で「このことは、外で他言無用に願いたい。勇者パーティーの1人が王都で殺されたとなると国民がパニックになってしまうからな。そこで、表向きには、カイ殿は訓練でしばらくの間、騎士団とともに遠征に行ってもらっているということにすることにした。皆にもそれで話を合わせてほしい。」と指示を出し、それで集まりは解散となった。

数日して、また勇者一行とセルカ達騎士団の数人でゲオ平野に行くことになった。

ゲオ平野についた一行は狩に夢中になって取り組んだ。いやなものを忘れるように。

そのおかげもあってか、パーティーはゲオ平野にいるほとんどのモンスターを倒せるようになっていった。

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