第2話 応接の間にて

「私はこのイシス王国の32代王、レオナルドである。貴殿らの名前をお聞きしたい。左からそれぞれ順番に申してもらえるかな?」と神官の奥から冠を付けた老人が歩み寄ってた。「自分はカイ。」、「私はヴェルカ。」、「私はガリア。」、「俺はジャン。」、「私はエレーナ」、「僕はソルト。」、「私はリーシアだよ~。」、と順番に自己紹介をしていった。

なんとヴェルカの配信にいるメンバーがここにいたのだ。

そのことに気づいた全員はあたふたとしながら「え!?あなたがヴェルカ!?」などヴェルカの配信で顔を知らないメンバーだったことから存在を確認し合った。

「さて、自己紹介が済んだところで、ひとまず応接間にご案内いたします。」と神官に案内され、そこで状況の詳細な説明と装備や、資金の援助などの話し合いをした。

王様いわく、400年前に突如として人類と魔族との間で起きた戦争から100年後に八聖の勇者の活躍によって魔族を撤退まで追い込み、終結し、平和な時が続いた…。が、それから300年がたったある日、その平穏な時は打ち破られ、魔族の侵攻が開始され人間族は存亡の危機に瀕した。

そんな中、王族に伝わる400年前にかかれたとされるアンライトという書に「異世界より召喚せしめた勇者達が、魔族によって奪われ隠された、神より与えられし7つの聖なる宝玉を集め、聖なる7つの塔にそれぞれを収めし時、この世界は魔族から解放されるであろう。」と書かれていたという。まぁ、そんなわけで召喚された自分たちはまずその7つの聖なる宝玉を集めなければならないらしい。

「勇者方には、明日、まずそれぞれ自分の戦いやすいスタイルを選んでいただき、選ばれたスタイルに合う武器を差し上げ、また、旅への援助金として金銭50枚を差し上げます。」

と王様の隣にいた大臣が予定と援助の説明を受けた。

「あの~、金銭50枚ってどれくらいの価値なのですか?」とヴェルカが尋ねた。

「この王国内のお金の説明がまだでしたな。申し訳ない。この王国では、銅銭、銀銭、金銭があり、金銭が一番価値があり、銅銭が一番価値の低いものとなっております。金銭1枚の価値は、銀銭換算で100枚、銅銭では10000枚換算になります。今いる王都にある中級クラスの平均宿賃がだいたい1人1部屋食事付きで銀銭2枚程なのでかなりの額と言えます。」と大臣が答えた。

「今日は夜も深まってきましたので、続きはまた明日に。今日は係の者に準備させておりますので王城の来賓用の部屋にお泊りください。」。

皆少し興奮した。

コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

「失礼いたします。お部屋の準備が整いました。」とメイドが入ってきた。

「それでは皆さん。今夜はゆっくりお休みください。」

そんな訳で来賓用の部屋に移動すると、そこは、無言になってしまうほどの素晴らしい部屋だった。入り口には、見事な花瓶にユリなど色とりどりの花が逝けてあり、床には落ち着くクリーム色に様々な色の線で描かれた見事なカーペットが敷いてあり、壁には、温かみのある暖色で、火のついたろうそくが規則的に置かれていた。入り口部分を抜けると、広い居間があり、その隣に寝室があった。居間には落ち着いたろうそくの明かりが灯す人2人分程のシャンデリアに照らされており、豪華でふかふかなソファーや豪華な机などが置かれ、隣の寝室とともに窓に面していて、そこからは、城下町と月が浮かぶ海を眺めることが出来る構造になっていた。

「なんで私ら転生系アニメみたいな状態になってるんだ?」とヴェルカが口を開いた。

「知らん」とガリアが即答した。

「即答で草」などと、なんやかんやだべっているうちに夜が更けて、一行は眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る