DAY 6
自分でも分かるほど精神が不安定で、ちょっとした音にも過剰に反応してしまい睡眠もままならない。毎朝、朝食にトーストを焼いて食べるのだが、食事も喉に通らず溜息を吐く。
――誰が何の目的で狙っているのだろう。
男なのか女なのかの姿も分からず目的すらも不明で、次に何をされるのか不安しかない。それでも生活をするためには部屋に籠ってばかりもいられず、会社に向かわなければならず着替えをしようと立ち上がるとベランダに黒い影が見えた。恐怖に息を呑むが、窓の鍵は閉まっているし犯人の顔を見ればこんな不安からも解放されるかもしれないと、勇気を振り絞り携帯電話のカメラを向けてカーテンを一気に引いてシャッターを切る。
そこには人などおらずカラスが手摺に留まっていたようで、携帯電話のカメラに驚いて飛び去って行った。
「なんだ、カラスか……脅かさないでよ」
ホッと息を吐きカーテンを閉め直して着替えを済ませて会社に向かう。やはり、女を監視するような視線はまだ続いている。不安なせいかだいたい同じ時間に顔だけ覚えのあるすれ違うだけの名前も知らない人間をも疑い始める。
――もしかしたら、あの人? それともあの人?
気が張り過ぎて嫌な汗が額に浮かびハンカチで汗を拭いふと空を見上げると、電線にカラスが留まっている。それも、ざっと見ただけでも十羽以上はいるだろうか。
――最近、よく見るな。
野鳥のカラスなど、何処でも見かけるし普段なら気にも留めないのだが気分が落ち込み不安に駆られている為か不吉な予感を覚え走って駅に向かった。
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