DAY 5
会社に事情を言って休みを貰った。久々の平日休みだが、事がことだけに気分が上がることはなかった。
――誰かに狙われている。
心当たりはないかずっと悩み続けまともに眠ることもできない。どれだけ自分の行動を思い出しても命を狙われるほど恨まれるような出来事は思い当たらなかった。このまま部屋に籠って怯えていてもどうにもならないので、自分にできることをするしかない。出勤ようの鞄から防犯ブザーを出し携帯電話はいつでも警察に繋がるようにし、アパートの部屋から外に出る。
周囲を警戒するが妙な視線があるかどうかなど恐怖が勝り確認している余裕もなく近所の交番まで殆ど走るように向かう。交番に着くとホッとしたのか目に涙を滲ませ警察官に事情を話す。
昨日の警察官からも連絡が入っていたようで、見回りの強化をしてくれることを約束してくれた。なにかあったら直ぐに連絡をするようにとも言ってくれ少しだが不安が和らぐ。帰りに子供達の遊ぶ姿がある公園のベンチに座りホッと息を吐く。噴水でカラスが水を飲んでいる姿をぼんやりと眺めていると、女の視線に気付いたカラスが威嚇するように大きな声で鳴く。
驚いた女は八つ当たりも兼ねてカラスを睨みつけると、カラスがまた鳴いた。その声に呼ばれたのかカラスが噴水にまた一羽、さらに一羽と集まってくる。
――気味が悪い。
不安を抱えているせいなのか、不気味に思えてベンチから立ち上がりまっすぐアパートに戻った。
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