第4話  殺気を放つ雪乃

 真白と雪乃は、一組の教室に入ると、それぞれ席に座って、一息つく。


 雪乃が、席に着いた途端、彼女の周りには、人が集まってくる。


 それは男女問わず、そのほとんどが、質問攻めである。


 容姿端麗の彼女を見れば、誰もが話したくなるのは、分からなくはない。


 それでも雪乃は、苦笑いをしながら、一つ一つ、丁寧に答えている。


 それを遠くの方から見ていた真白は、荷物を置いた後、そのまま、時間が来るまで机に寄り掛かって、うつ伏せの状態で目を閉じた。


 学校の授業は、高校に入ってからは、レベルが上がり、最初の方は、色々と苦労する。


 なんとなく、授業を受けながら、一日が終わり、放課後になる。


 荷物を片づけて、真白は帰る準備を終えると、雪乃が真白の近くにやってきた。


「真白君、帰りましょうか?」


「ああ……」


 と、二人は一緒に教室を出る。


 周りからは、どうして雪乃が真白と一緒にいるのか、不思議なくらいに思っており、注目を集めるが、当の本人である雪乃は、気にしていない。


 逆に言えば、真白と一緒にいるだけで嬉しそうにしているのだ。


 靴を履き替えると、玄関を出る。


「真白様、人間の学校というものは、疲れますが楽しいですね」


「そうかい、それは良かったよ。で、今日は何を話したんだ?」


 二人は帰り道、今日あった出来事を話しながら帰る。


 真白と雪乃の住む町は、都会というよりかは、田舎町に近い。


 川の流れはのどかで、山など、周りを見渡せば、すぐに見えるくらいである。


 そして、真白の家は、山の近隣にあり、近くには小川が流れている。


「それでですね。あの人が……」


 と、雪乃の口が止まる。


 すると、殺気を放つかのように雪乃は、周りの様子を窺った。


「どうしたんだ? 雪乃?」


 と、真白はいつにもなく、殺気のある雪乃を見て、驚いていた。


「真白様、どうやら、この近くに強い妖力を持った妖がいるようですね」


「ど、どこに⁉」


 と、真白は、辺りを見渡すが、それを見つけることができない。


「まぁ、妖というのは、私や珠代みたいに人間の姿をしている者もいれば、他の姿になっている者もいますからね」


「そうだな。で、今は、大丈夫なのか? 襲われたりとかは……しないよな……?」


「分かりません。でも、とりあえずは、帰るまで、気を抜かないようにしておきますので、このまま、帰りましょう」


「わ、分かった……」


 二人は急いで、家に帰った。

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妖と人の群青 佐々木雄太 @yuta4

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