第2話 時計塔のピッコリーナ
ホロロギウムの時計塔は、今日も正確に針を回していく。
「うんうん、正確正確。音も位置もズレなく動いて気持ちいい!」
などとつぶやきながら、あたしは塔の
このホロロギウムの街の時間を刻み続ける塔の針が一秒たりともズレること無く動き続けるように整備する。
それが、あたし——ピッコリーナ・テンポリスの仕事だ。
「さってと……朝が来るよ、ピノ」
つぶやきながら、あたしは腰の
しかし、
つぶらなボタンの瞳は左右で大きさの違う赤と青。
人参を象った長っ鼻、
茶色の毛糸で編んだ縦ロールの髪の毛。
全体的に愛らしいこの
たまたまゴミ山の中でこの子の声を聴かなければ、おそらく今頃は焼却炉の中だったろう。
ほんと、あたしに感謝してほしいものだ。
などと考えているうちに、白んでいた空が薄明るくなり始める。
しばらくして、塀の上に光が差してきた。
あたしは「すぅぅ」っと息を吸い込んで、それから思い切り吐き出した。
「みぃぃぃなさぁぁぁぁぁん、おっはよぉぉぉございまあぁぁぁぁぁす!」
(うるさいぞ、よく毎朝それで苦情来ないな)
「お、ピノも起きた?」
腰の
(間近でそんな大声出されたら流石に起きるわ、チビっ子)
「チビっ子言うな、ピッコリーナさんと呼べ!」
(わかったわかった、チビっ子)
全然わかってないな、こいつ……
呆れて嘆息しながら、あたしはまたピノの頭をポンポンする。
(あんま叩くな、うっとおしい)
「はいはい」
金剛石のような
そして、街が目覚めの時を迎えた。
⏲ ⏱ ⌛ ⏲ ⏱ ⌛ ⏲ ⏱ ⌛ ⏲ ⏱ ⌛ ⏲ ⏱ ⌛ ⏲ ⏱
『来たる万博に向け、各国から様々な発明品を引っさげて魔導技師の皆様が続々とご
ラヂオから若い女性の声が告げるのは、今度この街で開かれる予定の万国博覧会の最新情報。
「んで、このラヂオってのは『
(魔術の結晶化か……俺の知ってる魔術っていうのは、なんか長ったらしい呪文唱えて杖や掌から放ったりするモンなんだがなぁ)
「それは『
(つまり、俺のいた世界に伝わる魔術は、この世界じゃもう古いってワケか)
「はいはい出ました、ピノの『実は俺、異世界から転生してきたんだー』ってヤツ」
(だ・か・ら、俺はマジで違う世界で人間として生きてたんだってーの!)
「なんだっけ、チクーのヂファンゴってトコから来たんだっけ?」
(地球の日本な。なんで、そこだけピンポイントで
「さあ?」
ワケの解らんピノの質問に、あたしはただ首をかしげるだけだ。
たまに変なこと言うよな、こいつ……
(聞こえてるぞ)
「聞こえるように言ってんのよ」
得意げにツッコミを入れる
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