第5話「パートナー選び、失敗!……?」

 その金髪ロング美少女は、サラサラの金髪に俺を越えるスラッとした高身長。

 パッチリした目だが、キツめに顔をしかめながら、俺を見下ろしていた。


「私、ブサイクは別に嫌いじゃないけど、いつまでもイジイジしてる男は嫌いなの。さっさと元気を取り戻しなさい」

 彼女が言う。


「あの……ひょっとして、高岡たかおかさん?」


 俺は、まだ状況を飲み込めず、つぶやくように尋ねた。


「あら、私の顔、知ってるの?まあ、有名だものね」




 高岡たかおか理姫りひめ

 大企業の社長令嬢で、モデル。

 ネットのトップニュースにもたまに顔を出す、有名人だ。

 その魅力は外見の美しさにとどまらない。

 身体能力が群を抜いており、中学時代にはいくつもの競技団体からプロの勧誘を受けていたとか。




「あの鎌瀬川かませがわとかいう小物と戦いたいんでしょ?私がパートナーになってあげるわ」

 理姫りひめは、自信満々に胸を張って、俺の前に立っていた。


「え……いいんですか?」

「いいわよ」


 あの高岡たかおか理姫りひめが、俺のパートナーに?


 まさかこの、俺のことが……




「だって、誰も私をパートナーにしてくれないもの!」


 理姫りひめは、憤慨ふんがいしながら言う。


「みんな、負けて私が誰かの奴隷になるのを恐れて、私と組もうとしないの!私も『スレイヴ・ヨット』に参加したいのに!」


「あ、そうですか……」

 彼女、俺に好意は特に無さそうだ。


 それどころか、俺は次負けたら『あの高岡たかおか理姫りひめを人の奴隷にしてしまった男』とさげすまれながら、高校生活を送ることになる。




「で、どうする?」


 理姫りひめは、俺に問う。


「あなたも、組むのやめる?」







「いや」


 俺は、即答した。




 ここで組むのを断わったら多分、冷奈れいなのことを一生忘れられない。


 最後に振り向いた時の、悲しみに満ちた冷奈れいなの顔を、一生、忘れられないだろうから。







「俺のパートナーに、なってくれ」




「よし」

 理姫りひめは、満足げな笑顔を見せた。




「えっと、それで、先に色々聞いておきたいんだけど……」


 さっきのように、知らなかったから負けた、なんてことは、絶対に繰り返さない。


「私のことは、1つだけ知っておきなさい」


 しかし、理姫りひめが自信に満ちた笑顔で教えてくれたのは、1つだけだった。




「私がこなせないペナルティは、存在しない。あなたは、敵を倒すことだけ考えなさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る