第4話「リベンジ挑戦、失敗!」
「お、
俺には、何が起こったのか全く分からなかった。
……俺、もしかして、負けたの?
「降参します、って言ったんです」
「ま、まさか……事前に、降参するように、あいつに言われたのか!?」
俺は、悪い頭をフル回転させて考えた。
ゲーム前に「ペナルティの時に降参しろ」と命令しておけば、その言葉は嘘にならない。
これだ!この作戦だ、きっと!
「おい、俺がそんな……」
「違います」
「じゃあ、なんで……」
絶望に暮れる俺の顔を見ながら、彼女は口を開いた。
「私、小麦粉アレルギーなんです。パンは
こうして俺は、
「頼む!」
俺は、
「うるせえ!すがりつくな、うっとうしい!」
「今の結果は、
「あのなあ!」
「知らねえのも含めて『勝負』だ!何度もお情けでチャンスをやってたまるか!」
「くっ……」
「ああ、それか、条件付きなら、もう1回やってもいいぜ」
「えっ?」
少しほころぶ俺の顔を見下ろし、
「奴隷への命令ありなら、いいぜ。もっとも、お前の選ぶ役は、俺が全部指定するがな」
「そ、それは……」
「じゃあな。もう俺に、くっついてくるなよ。これは命令だ。守らなかったら、今度はヨット部からペナルティをくらうぜ」
一度だけ俺の方を振り向いた
『スレイヴ・ヨット』で必要なのは、サイコロでいい目を出す運じゃなく、パートナーのことを『知る』ことだった。
サイコロの目は、どんなに頑張っても駄目な時はある。
その時、パートナーはどの
俺がすべきことは、制限時間を費やそうとも、小麦粉を使っていない食パンを探しに行くことだった。
今更気づいても、もう遅い。
奴隷になってしまった今の俺じゃ、リベンジのチャンスすら与えられないんだ。
俺は絶望と後悔の中、化学室へ続く階段の途中で、膝を抱えてうずくまっていた。
「
女性の声に、俺は顔を上げる。
金髪ロングの美少女が、俺を見下ろしていた。
「見ていたわよ、さっきの勝負。リベンジ、したいんでしょ?」
彼女は、少し低めの良く響く声で、俺に声を掛ける。
「私をパートナーにしなさい。あなたを勝たせてあげるわ」
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