第76話事件3
「君達は王太子である私が国家に反旗を翻したと言うのか!」
「そう取られてもおかしくない言動の数々です」
「王家に対する不敬だ!」
「確かに、王太子殿下方は王族です。ですが、『国王陛下』ではありません。それ故に、王太子殿下であろうとも当事者の一人と考えて然るべきでしょう。現に御息女であるリリアナ王女は現行犯ではありませんか。それなのに何故ご自分は一切関係ないと言わんばかりの態度でいらっしゃるのか……私どもには理解できません」
「ぐっ……」
医者だけではない。
看護師も周りの教師も私を疑っている。バカバカしい限りだが疑いが晴れるまでは部屋から出してもらえそうにない。
「何が現行犯よ! 私は偶々彼らの傍にいただけよ! その場にいなかったくせに私を犯人扱いするなんて間違っているわ!」
リリアナが叫ぶと同時に立ち上がると、私と言いあっていた医者を睨みつけた。
「その場にいた事が事態が問題なんですよ」
横から教師がリリアナを咎めるように口をはさんだ。
「だから偶々だって言っているじゃない!」
「リリアナ王女殿下はご存知ないかもしれませんが、高位貴族側の学舎に立ち入るには理事長の許可が必要になります。それを無視するということは『不法侵入罪』となるのです」
「えっ!?」
「それと、あなた方が所持していた薬の中には市場に出回っていない物までありましたよ」
「だ、だから何だって言うのよ!」
「それをどうやって手に入れたのかも含めてハッキリさせる必要があるんです。何しろ、我が国に
「それって……?」
困惑するリリアナに対して教師の目はどこまでも冷たいものだった。教師が生徒を見る目ではない。犯罪者を見る目つきだった。リリアナもそれが分かったのだろう、怒りで顔が真っ赤になっている。今にも飛び出さんばかりだ。
「ここから先は私が伝えよう」
理事長の穏やかな声が部屋中に響いた。
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