第70話王女side
ルドルフ第二皇子に手を引かれている女が誰なのか分からなかった。
シャンデリアによってキラキラと星のように輝く銀髪、深海を思わせる青い目、清廉な容貌。スラリとした肢体は女としての魅力が乏しく感じたけど、それに余りある美貌の持ち主だった。自分とは系統の違う美人だから素直に「美しい」と認める事ができた。身近にいないタイプの美人だった。
それにしてもあの銀髪女は誰なの?
今まで何度かお母様の協力の元、お忍びで夜会に参加していたけど見た事がなかった。
最初、ルドルフ第二皇子の妹かと思ったけどそれにしては容姿が違い過ぎるし、なによりも醸し出している雰囲気が兄妹のそれではなかった。女についてあれこれと考えていると、ファンファーレが高らかに鳴り響いた。
国王の入場だ。
私は慌てて、国王から見えない範囲に移動した。実の祖父とはいえ、国王は苦手だった。会うのは年に片手にも満たない。それでも、あの観察するかのような目が好きになれなかった。その目は両親にも及んでいたから余計に苦手意識を持つようになったのかもしれない。お母様も「おじい様は意地悪なの」と言う。「お母様達を社交界に出してくれないのよ。本当に酷い人だわ」と嘆く母の姿を幼い頃から見てきたせいかもしれない。
「今宵は、聖ミカエル帝国の第二皇子殿下の歓迎会である。ルドルフ殿下、王立学園の入学おめでとう。良き学友との出会いと共に、切磋琢磨に競い合い友情を育んでくれることを願う」
「ありがとうございます。ティレーヌ王国は、私の望みを叶えてくださった事を大変感謝しております」
「我がティレーヌ王国と聖ミカエル帝国の友好の象徴ともいえるルドルフ殿下とコードウェル公爵令嬢の婚約は両国の希望になるだろう」
銀髪女が国王の前に進み出て、優雅なカーテシーを披露した。
「国王陛下。私、キャサリン・コードウェルはティレーヌ王国を代表し、両国の懸け橋となれるよう努力して参る所存でございます」
はぁ!?
銀髪の女がキャサリン・コードウェル公爵令嬢!?
憎たらしい女が第二皇子の婚約者ですって!!!
今まで噂を聞いて苦々しく思っていた女が目の前にいる事実に唖然とするしかなかった。
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話の設定を変更して、リリアナ王女はキャサリンの容姿をしりません。68話で会ったことがあるかのように表現していたのでそこを変更しています。名前や噂を聞いて「嫌いな女」と認識してます。
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