第61話過去7 ~王太子妃side~
私は
それはいい。
私もマックスもお互いに愛し合ってるんだから。ただ、問題があった。男友達だ。これから先も関係を続けていくことは出来ない。何しろ、私は全てを恋人に捧げたのだから。頭のてっぺんから足の爪先まで王太子のもの。
マックスに
まあ、私は昔から
ちょっと話し合いが必要かな?と思っていたら、いつの間にか男友達……高位貴族の友人が傍によらなくなっていた。気が付いた時には疎遠になってしまい、周囲には
それに――
「婚約者? ああ、セーラの事かい?」
「う……ん。どんな人なのか気になって」
「そうだな……王妃に成るべくして生まれたような令嬢かな……」
恋敵に興味はあった。
遠目から見たけど、中々の美人だった。
私とは系統の違う美人で、何だか冷たそうな印象の女性だった。
マックス曰く、「聡明で美しい完璧な女性」らしい。
優秀で婚約者の自分を立ててくれる、と苦笑していた。
直ぐにピンときた。マックスは婚約者の侯爵令嬢に劣等感を感じているって。マックス自身は自覚ないみたいだけど、私には分かった。だって、婚約者の話をする時は何時も口端が少し上ずっているもの。無意識に苦手意識を持っているみたい。マックスの癖ね。本人も周りも分かってないみたいだけど。
侯爵令嬢は思っていたよりも馬鹿な女だわ。
優秀過ぎてマックスから距離を置かれてるんだもの。
私にとってチャンスだった。
マックスを上手く誘導すれば侯爵令嬢と婚約破棄するかもしれない。
侯爵令嬢と婚約破棄になれば、私はマックスと結婚できるかもしれない。そうなれば、私は「王太子妃」よ。誰よりも上の身分になれる!
王太子妃になれば、誰も私に文句など言えない。
『彼』も『あの女』も『分家の男』も、誰もかれもがひれ伏するはずだわ。それに、今よりもずっと良い目が見られる。
侯爵令嬢だってマックスを愛している訳じゃない。見てれば分かる。あれは恋い慕う女の顔じゃないもの。私の方がマックスを愛しているし、マックスも私を愛している。愛しあう私達の邪魔なのは侯爵令嬢の方だ。婚約破棄されれば、あの澄まし顔が歪むのを想像するだけでも気分が良い。
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