魔術ってなに?まさかアプデが!?
校舎裏ならぬ、寮裏に連れてこられた私。一体何をされるんだろう。恋愛対象は女の子って言ってたし、何かいやらしいことを!?
「さて、ここなら人も来ないだろから。学園内で魔法を使用する悪い子には、お話があるんだ」
私に近づいてくるイルルさんから、逃げるように後ずさる。しかし背後には壁、前にはイルルさん。逃げ場は無かった。
「魔法って、なんのこと、ですか」
既に魔法を使ったことが、バレているような気もするけど。ここは、使ってないと言うしかない。だって証拠はないんだから。
「知らんぷりは良くないな。君が魔法を使ってたことは、魔術を使ったからわかっているんだよ?」
「魔術?」
えっと、魔術ってなに?
一度目の世界に、魔術なんてあったけ。授業は適当に受けてたから覚えがないんだけど。ゲームの中でも出てきてなかったような。一度目の世界にもあったのか、それともアプデでもされたの?
「一年生の君が魔術を知らなくても無理は無い。三年生で選択する授業だからね。魔法は何も無いところに火を出せるけど。魔術燃えるものがないと火をつけれない」
何を言ってるのかさっぱり分からない。
「説明しても分からないかな。とにかく、学校内での魔法の私的利用は禁止だよ」
イルルさんに魔法を使ったことはバレてるらしい。どうしよう退学なんてことになったら、またあそこに戻らないといけない。
「誰にも迷惑かけてないし」
「迷惑の問題じゃないんだよ。まあ、僕に君を処罰する権限は無いし。みんな隠れて使ってるからね」
「え?」
「ただの注意さ、あんまり大っぴらに使って先生にバレたりしたらそれこそ処罰されちゃうからね。使うならこっそり使わなきゃ」
つまりイルルさんは、私にいやらしいことをするでもなく。学校に密告するでもなく。バレないように使えって注意しに来たの?
「先生にバレないように使うんだよ。これはちょっとした罰さ」
イルルさんに壁に押し付けられて、しかも手首まで掴まれて身動きが出来なくなった。やっぱりこの人私にいやらしい事するつもりなんだ!
逃げようにも、イルルさんの力が強くて逃げれない。背中の壁が冷たくて、イルルさんに掴まれてる手首だけが暖かくて。そのまま見上げるイルルさんの顔が近ずいてきて。わたしは思わず目をつぶった。
『チュッ』
気がついた時には頬にキスをされた。夜風で冷えた頬に、生暖かいイルルさんの唇の感触がして。少し湿った温かさが数秒頬に残って、夜風に冷やされた。
「それじゃぁ、バレないように魔法は使おうね」
私を置いて、イルルさん居なくなった。初めてされたキスに私の心臓は激しく収縮を繰り返す。高速で流れる血が、頬を赤くして体が暑くなってくる。王子にキスをされることを想像したことはあったけど。ここまでドキドキしたり、体が暑くなったことは無かった。前の世界でもこの世界でもキスをされたことなくて。生まれて初めてキスをされた。キスの感覚がずっと頬に残っていて。私はこのキスの感触と忘れることは出来なさそうだった。
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