六話 痴呆
ボクのなまえは分からない。
そもそも、なまえってなんだろう。
おやつ食べたいなぁ。ご飯食べたいなぁ。だって食べてない気がするから。
ねえ、お姉さん、ご飯まだ?
「タロウ、もう食べたよ。ごめんね。」
からだがなんだかダルいなぁ。
なんでだろう。動くのがむずかしいなぁ。
ねえ、お散歩したいなぁ
「お散歩したいね、お外出たいね。あと少ししたら行こうね」
なんだか眠いなぁ、いつも眠ってる気がするな。
いつも?いつもってなに?よくわかんないや
ねえ、ご飯まだ?
「ご飯はこれ以上あげられないんだ。ごめんね。」
ボク、喋らないと気が済まないな。
なんでだろ。
「うん、大丈夫だよ。タロウ。大丈夫。もう、もう、おじいちゃんなんだね。」
ボクのなまえはわからない。
そもそも、なまえってなんだろう。
「ママはね、タロウのこと大好きだからね。」
ねえ、お姉さん。ご飯まだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます