魔法の杖
飛ばし屋さん
男の思い出
男が机を整理していると一枚の写真が出てきた。
それは男の高校の卒業式の時の写真だった。
そこには男と男の幼馴染の女の子が写っていた。
「こんなところにあったのか。」
そして男は丁寧に飾られた一つの杖を見た。
「懐かしいな…あの時使ってればなぁ。」
男は後悔していた。
———————————————————————
〜30年前〜
男は幼馴染の女の子に恋をしていた。
「おーい学校行くぞー」
「ちょっと待って〜」
こんなやりとりに男は幸せを感じていた。
放課後
男は幼馴染と帰ろうと思ったが、
幼馴染は用事があると先に帰ってしまった。
仕方なく男は1人で帰ることに。
帰り道、道端に杖が落ちていることに男は気づいた。
何となく拾ってみるとそこには
"この杖を人に使うとその人はお前のことを一生愛する。
ただし、これは一回しか使えない"
と書かれている紙が貼ってあった。
男は疑うことを知らない人だった。
「すごいものを拾ってしまった。
これを使えばあいつに俺のことを惚れさせることができる!!!」
「いや、待てよ?有名女優やモデルなんかも惚れさせることができるのか!」
男はこの杖を誰に使おうか悩みながら家に帰った。
翌日
「おーい学校行くぞー」
「わかった〜、ん?なんでにやけてんの?なんかいいことあった?」
「お前には関係ないだろ!!」
「ふ〜ん」
〜学校〜
男は杖について悩んでいた。
「どうしようかなぁ〜」
「ん?どうしたん?」
「うわっ!急に話しかけんなよ!」
「別にいいじゃん。
それより何に悩んでるの?」
「いやぁ〜欲しいもの一つだけ貰えるってなったら迷うだろ?」
「なにか貰えるの?」
「いや、そういうわけではないんだけどさぁ〜。」
「悩むなよ(ボソッ)」
「ん?なんか言ったか?」
「んーん、なんでもない。」
そして男は杖を使うことなく高校を卒業し、大学を経て就職をした。
〜10年後〜
「行ってきます。」
「パパ〜、いってらっしゃい!」
「おう!行ってきます!」
「あなた〜お弁当忘れてるよ〜」
「あーすまない愛妻弁当を忘れるところだったよ。」
「もう、あなたったら」
チュ
「パパとママイチャイチャ〜!」
「じゃー行ってくるよ!」
男は結婚しており父になっていた。
〜高校の卒業式〜
「どうしたの?こんなとこ呼び出して」
「ごめん、伝えたいことがあって」
「何〜?」
「その…好きだ!俺と付き合ってくれ!」
「えっ」
「お前のことがずっと好きだったんだ。」
「私のことなんて好きじゃないと思ってた。
…杖だって使ってくれなかったし(ボソッ)」
「それで返事をもらってもいいか?」
「いいに決まってるじゃん!!!
ってか言うの遅すぎ!私のこと好きじゃないかと思ったよぉ(涙)」
「ごめんって」
そうして男は幼馴染の女の子と付き合うこととなり
大学を卒業と同時に結婚した。
「こっちの荷物は全部終わったよ。」
「はーい。ってかその杖まだ持ってたの?使わないんでしょ?」
「これは俺のお守りみたいなもんだからな。
ってかなんでこの杖のこと知ってるの!?」
「だってそれ私が置いたやつだもん」
「えーー!!そうだったのか。だったら使えばよかった〜そしたらあんなに緊張しなくて済んだのにぃ」
「なんで使わなかったし笑
やっぱり〇〇は素直だから信じてたか笑
知ってたけど笑」
「だってなんかそんなの使って惚れられても嬉しくないじゃん!人の感情変えるなんてひどいし」
「でも女優やモデルと付き合える〜って喜んでたで
しょ?絶対」
「ギクッ そ、そんなことないし!」
———————————————————————
〜そして現代に戻り〜
「あなた〜ぼーっとしてないでこっちの片付けも手伝ってよ〜」
「いや〜懐かしい写真が出てきてな」
「やだ、高校の時の写真じゃない
懐かしいわ〜」
「どこに行ったかと思ってたけどこんなところにあったのか」
「あなたがあの時杖を使ってれば私はあなたにメロメロであなたのおねだりもなんでも聞いていたかもね笑」
「くっそ〜あの時使ってればなぁ」
「そんなのなくてもメロメロなんだけどね(ボソ ッ)」
「ん?なんか言ったか?」
「あなたは耳が悪いわねって言ったの〜」
「確かにたまにお前の話聞こえない時があるなぁ」
男は杖を使うことなく幸せに暮らしたのだった。
完
魔法の杖 飛ばし屋さん @tobashiyasan1039
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