6_2019年4月9日



気がつくとそこは僕の部屋だった。

床にうつ伏せに倒れていて体が自由に動かない。


カッターやハサミが地面に転がって、その隣には血の着いたティッシュが山を作っている。部屋の中は眠る前の現実と同じように散らかっていて机の上には分棒が散らばり、床には教科書やプリントが散乱していた。


カチカチと時計の音が響く。

時計を調べたかったけど視界がボケていて今が何時か分からない、近くに行って見てみようと体を動かそうとしたと同時に時計の近くで倒れていた。



「あ……あえっ」



移動したいと思った時には体が動いていて、床やベッドの上に倒れている。血だらけのティッシュの上に倒れていたり教科書の上に倒れたり、バグが起こったみたいになっていてる。



「おき、な…きゃ……」



まだ、まだ夢の中だ。

夢を見ているということはまたあの下に落ちるかもしれない、生きたまま焼かれるという恐怖を体験するかもしれない。



折りたたみ机の上にあったペットボトルを取ろうとしたら山のようにある空になった銀色の薬の包みが床に散らばった。ペットボトルを取ろうとしただけなのに。



「はや…く」



ぬるい水を口の中に注ぎ、部屋から出ていくと意識して体を動かす。床に何度も転がりながらも僕は部屋を出ることに成功し、玄関を出た。




「逃げ、る逃げ……にげぇなきゃ」




塀によじ登る、そう考えれば体はそれを実行する。

視界が開けてマンションの下が見える、眩しくてよく見えない。




「ゆめ…くろぉ、くおでてきて……」




呼びかけてもやっぱりクロは出てこず、僕はそのまま“逃げろ”と体に命令した。




「くろぉ」



再度、名前を呼んだ。

地面に真っ逆さまに落ちていく。





現実の世界に……夢の世界に…戻れ____

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