第149話 雪催、梅月夜
雪催、曇天が広がる、吹雪が支配する寒空の最中、今日は建国記念の日だった。
夕霙がしばらくすると粉雪に変わり、雪が重みを得ると、地上はついに雪紙巻に見舞われた。
如月には珍しく、今日は東京では大雪警報が各ニュースサイトから発出されている。
雪景色を望む窓辺をぼんやりと虚ろな眼で恐らく、雪解星を抱きながら僕はこの三寒四温の日を過ごすんだろう。
街角ではバレンタインデーというイベント開催のため、チョコレート作りの道具や材料が多種多様に百均に並び、華やかな催しを決行するために賑わっていた。
梅月夜、春を待ち侘びる寒桜、寒椿、山茶花、雪見草、スノードロップ、石蕗、葉牡丹、水仙、千両、蠟梅が貧弱な小草生月の野山を彩っている。
僕は本来だったら、高校三年生の最終学年に向けて、勉学に精進しているはずだった。
高校生活を謳歌していない僕には、その移り変わりがちっとも、想像もできないのだ。
学生生活そのものが淘汰されたように思える。
僕にとって、明るい青春白書とは無縁だったのだ。
父さんは天涯孤独だった、僕を引き取り、高等教育を施し、心の傷を治療し、今までの償いをしたい、と申し出た。
それと、君は君が思うほど、君の存在はこの国にとっては無視できないのだ、と切羽詰まって言われた。
父さんの連れ添いの執事のおじいさんからも、同様の言伝をもらった。
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