少年との喧嘩

和の國の人々はココとどう関わっていけばいいか分からなくなった。

同じ和の國出身でも戦で家族を奪ってしまった以上ココにとっては敵だ。

皆が重い空気に包まれる中、和の國の少年ケンが聞いた。

「ココはどうしてミドリさんに引き取られたんですか。たまたまの出会いで引き取るなんて人が良すぎます。」

ケンは思ったことをすぐ口に出してしまう。

皆がケンを睨んでいると奥から

「ミドリを侮辱するな!」

と怒鳴り声をあげてココが入ってきた。

すると、ココはケンに物凄いスピードで近づきケンの頬をぶった。

「ココ!あんたそこまでしてはいけないでしょ!彼も悪気があって言ったんじゃないんだから。」

ミドリはココを見つめて真剣な眼差しで言った。

だが、ココの怒りは収まらない。

「ミドリは私にとって大切な人なんだ。こんな私を拾ってくれた唯一の人間なんだ!お前に家族を奪われて一人で生きていく辛さが分かってたまるか!」

というやいなやケンに殴りかかろうとした。

だが、ミドリに止められ、ケンは打たれた頬を手で抑えながらココを睨んだ。

少年と少女が喧嘩するなか外から音楽が聞こえた。

「盆踊りの曲....。昔おとんとおかんに花火大会に連れて行ってもらったな.....。」

ケンはそう言いながら目に涙を浮かべた。

「もしかして貴方も桜蘭の戦いで家族を失ったの?」

ケンは何も言わずに首を縦に振った。

彼も戦の被害者だったのだ。

ココはそれを聞いた途端泣きながらうずくまりこう言った。

「ごめん、同じ境遇だったのにひどいこと言った。許して。」

ケンは黙って手を差し出した。二人は仲直りの握手をした。

「貴方の名前は?」

「俺はケン。火の町の武士の息子だ。宜しく。」

ココはこうして和の國の人々に心を開き始めるのだった。

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