ココの過去
ココを見つけた和の國の一人が話しかけた。
「君、ここの住人かい?」
しかし彼女は恐怖のあまり泣きながら裏路地に走っていってしまった。
「すみませんね、うちの子が。」
店先から一人のふくよかな女性が出てきた。
「あら、もしかして和の國の人じゃありませんか。ようこそ、グルメ星へ。
私はここのお店の店主のミドリと申します。噂は聞いてますよ!大変でしたね。お疲れでしょう。うちの店でご飯でもどうぞ。」
そう言って見ず知らずの人々に料理を振るまってくれた。
豚汁にご飯、鯖の塩焼きなどまるで和の國のことを知って調理してくれているようだ。
不思議に思った和の國の一人が訪ねた。
「女将さん、なんで和食を知っているんですか?」
するとミドリの顔が暗くなった。
「実は、さっき走っていったあの子、私の本当の子ではないんです。あの子はあなた達と同じ和の國の生まれなんです。」
人々は唖然とした。まさか同じ國の子だったとは。風が冷たく感じた。
「あの子に和の國の料理を教わってこうしてここに店を出しているんです。」
そうこうしてるうちにあの子が帰ってきた。
「ミドリさん、ただいま...なんで和の國の人達がここにいるの?
出てって!今すぐここから出てって!私の今の幸せを邪魔しないで!」
ココはパニックを起こしそのまま過呼吸で倒れてしまった。
「ココ、ココ!」
ミドリの応答に全く反応しない。
「お医者さんを呼んだ方がいいんじゃないか?」
和の國の人々は口々に言い始めた。
しかしミドリはこう言った。
「ココは和の國の人を見るといつもこうなってしまうんです。過去に色々あったから。少し寝室に寝かせてきます。皆さんはご飯食べてて下さいね♪」
そういうと倒れたココを抱えてキッチンの奥に消えていった。
ココの過去とは...一体何があったんだ?
和の國の人々は気になっていたその時ミドリが戻ってきた。
「ココさんの過去に一体何があったんですか?」
和の國の1人が尋ねた。
するとミドリは重い口を開け始めた。
「ココは和の國で起きた桜蘭の戦いで両親を失い、1人ぼっちになってしまったんです。当時彼女はまだ6才。私はたまたま和の國で様々な文化を知るために留学しにきていてそこで1人彷徨ってるココに会ったんです。」
桜蘭の戦い、それは戦国の世でなかなかな戦いで一般の女子供も皆犠牲になった悲惨な出来事だった。
和の國の人々は絶句してしまった。
何故ならここにきた人々は桜蘭の戦いで兵士として戦っていた者たちばかり。
つまりココにとっては悪人に見えたのだ。
ココの心は戦によって心が壊れてしまったのだった。
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