第2話 ヒノキの棒と布の服
おお勇者よ。よくぞ参られた。さあ、この王家に伝わるヒノキノボウとヌノノフクを取り、魔王を倒しに行くのじゃ。
「お父さん。今のお客さんなんだけど」
「ああ、すまん。すっかりとお前に店番を任せてしまったな」
「それはいいのだけど。今のお客さん、銅の剣と革の防具を買っていったの。それでこれを処分してくれと置いていったの。ヒノキの棒と布の服だって」
「どれどれ。おお、これは!」
店主はその棒を手に取った。
「伝説の武器ヒ=ノキ=ノボウじゃないか。どんな敵も一撃で残りヒットポイント10にするという大変な武器だ」
「それは凄いわね。でもそれは裏返せば、どんな敵も一撃では倒せないということになるわね」
「使い方次第だな。例え相手が魔王でもまずはこれで一撃すれば、後は果物ナイフでも倒せるということだ」
店主は手を伸ばして服を手に取った。
「こっちは伝説の防具ヌ=ノノフ=クだ。どんな攻撃を受けても残りヒットポイントが10は残るという優れものだ。つまりこれを着ていれば決して敵に倒されることはない」
「いまいちはっきりしない効果ね」
「そんなことはない。無敵の武器に不死身の防具。まさに伝説の装備だよ」
「でもこれどうするの?」
「仕方ない。王様に売りつけるか」
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