第7話 心の別れ ゼクトの場合
『これでセレスに三人を押し付けられる』
全てが丸く収まる。結構、結構コケコッコーだ!
俺は今迄、呪いに掛かっていた。
本当に呪いとしか思えない、この程度のくだらない女が好きだったなんてな。
外見も性格、そんなに良い女じゃない。
こんな大したことない女の為に俺は親友をセレスを失った。
本当に腹立たしい。
昔、ベテラン冒険者に『性欲には気をつけろ』そう教わった事がある。
まさに俺が掛かった呪いがそれだ。
このベテラン冒険者は、女の冒険者1人と仲の良い幼馴染と3人で旅をしなければならない、長期の依頼を受けた経験があるそうだ。
人里離れた場所で男2人と女1人、傍に居る女冒険者は凄い美人、当然取り合いになる、幼馴染と取り合いの末、敗れたベテラン冒険者は二人がいちゃつくなか、寂しく過ごしたそうだ『死にたい』その時は凄く絶望して、そうとさえ思ったそうだ。
だが、この話はそこで終わらない。
笑いながら俺の親父に後の話をしていた。
『いやぁ~凄く怖いわ!ああいう状況だと、女って凄く綺麗に感じるんだよな!溜まっていたから、依頼が終わった時に、金を握りしめて娼館に行ったんだよ!そうしたらよ、ほぼ全員があの時の女冒険者なんかより遥かに綺麗だったよ!抜いて貰ってから、街であの女冒険者を見たけどさぁ、あれはブス、そうブスだったんだよ!幼馴染がその横を悲しそうに歩いていたけどよぉ!スッキリしたよ』
こんな事を親父と面白そうに話していた。
今の俺にこの話はそっくり当てはまる。
『聖女』だ『賢者』だ『剣聖』だ!なんていっても所詮は村娘。
そんな各段と可愛いわけじゃ無い。
小さな村の中で美人その程度だ。
今迄、此奴らが可愛く見えていたのは、この3人しか居ない環境で生活をしていたからに違いないな。
そしてこの3人を綺麗に見えるようにセレスが世話を焼いていたから、そう見えた。
それだけだの事だ。
村に居た時にはその母親世話を焼いて。
少し前まではセレスが世話を焼いて身ぎれいにさせ、手入れをしていた。
だからこそ『可愛かった』んだ!
その証拠に、それが無くなった今…本当の此奴らの姿が見えてきた。
そんなに可愛くないし、そんなに綺麗でもない。
そこら辺に転がっている、何処にでもいる普通の女だ。
それは三人の中で一番綺麗で、本当に愛していたマリアでさえもそうだ。
風になびいていた綺麗な薄紫の髪に白い肌、スレンダーなスタイル。
俺にとっては本当に好みの女だった。
だが、世話をやくセレスが居なくなったら…ボサボサで汚らしい髪に顔は日焼けで川皮がむけている、そればかりか、気のせいか体までぽっちゃりと太ってきた気がする。
普通じゃない。
女に上中下をつけるならもう中ですら無い…下の上だ。
セレスがあの三人にしていた事を街でやらせようとしたら1人銀貨3枚(約3万円)掛かるんだ。
金や手間暇を掛けなければ、可愛くいられない、そんな女だった。
しかも、それだけじゃない!
あいつ等は性格までそんなに良くない!
俺の母親の静子は…下着なんて男に洗わせたりしなかった。
多分、村に居た他の女だってそんな事は恥だからさせない筈だ。
普通の女なら恥じらいがあって恥ずかしいから、そんな事を絶対に男になんてさせない。
食事だってそうだ、セレス程の味は無理でも、ちゃんとした料理を出せない女は村には殆ど居なかった。
料理が壊滅的に出来ない女なんてこの三人以外俺は知らない。
今迄、宝物だと思っていた三人が全員女ゴミだったんだ。
今ようやく気がついた。
しかも、三職だからよ!妊娠が怖くて抱けねーんだ。
これじゃ、女として全く価値がねーよ。
最も、今の三人を俺が抱きたいか?
そう言われれば抱きたくも無いな。
本当に萎える位『好きでは無くなった』
魔王を討伐すれば、俺には次のステージがあるんだぜ!
王女との婚姻に貴族の側室、それが俺を待っている!
亜人扱いだからエルフはそこに加えられないが、ハーレムすら持てる、最高の人生が俺を待っている!
俺のハーレムにはこの三人は要らないな。
だが、魔王と戦う為には必要な駒だ。
だったら!セレスに全員やれば良い。
セレスに譲るなら『親友に思い人を譲った』と教会や国王にも言い訳がきく。
ゴミ女を戦力として魔王討伐まで手元に置いて使って、更にセレスに俺の傍で働いて貰える。
最高じゃないか!
これで決まりだ。
セレス、お前に全部くれてやる!
三人纏めて全員な!
これで良い!
いや、これが最善じゃないか。
要らない女を利用しきって、セレスに押し付け処分。
セレスは親友に戻り感謝してまた世話をしながら、戦って貰える。
素晴らしい。
これなら戻ってきてくれるよな?
セレス!
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