こんな僕でも

ピッキー

第1話

     大切な人を失ったはずだ...なんで涙のひとつも流せない。

    

          僕こんな薄情な人間だったのか?


    あんなに大好きな人だったのに、いっぱいお世話になったのに、


            お通夜も葬式も なんで? 


    悲しいはずなのに涙がでない。僕はこんなクズになったのか? 


            あんなに愛情を貰ったのに。


あの人の心も、僕なんかのために使ってくれた時間も想いも全部弄んだのか? 


            なぁ僕本当にそうなのか?


   ちがう ちがう ちがう ちがう ちがう! ちがう! ちがう!


               絶対に違う!


あの人が僕に寄り添って心は本物だ。そして僕のあの人にへの気持ちも本物だ。


 でも今ここで涙を流せずにいる僕も本物だ。自分で自分が分からなくなる。


       今までの時間がなんだったのか分からなくなる。


        自分の気持ちが自分で理解できなくなる。         

           

           

             やっぱり僕は悲しい人間

     

         もう火葬が始まる時間になってしまった。


       心臓が自分の耳の横にあるように鼓動が聞こえる。


    僕の体が別れを拒絶している。でもそれは体であって僕の心じゃない。


             僕の本心はどこにある?

 

            本当にこのまま終わるのか?


           あの人を最後まで侮辱する気か? 


最後の顔を見なくちゃいけない。重い足を動かしあの人の元へ行く。胸が痛い。


     自分がこの顔掛けをとっていいのか?そんな資格ないと思った。

    

    でもその役目を放棄する訳にはいかない。僕がやらなくちゃいけない。


         僕はゆっくり歩み寄りあの人の前に行く

    

   手を震わせ怯えた子供のようになりながら そっと顔掛けを外した。

     

        その顔は濡れていた。違う僕が濡らしていた。


              僕は泣いていた


    めいいっぱい泣いた。泣く事が仕事の赤ん坊みたいに泣いた。


      分からない。でも泣いていいよと言われた気がした。


   理由は分からない。人前で泣くのはダメだと思ったのかもしれない、


       カッコ悪い事だと思っていたのかもしれない。


   そんなくだらないストッパーを勝手にかけてしまったのかもしれない。


           やっぱり僕は最低な人間だ。


     目の前で眠っている凄くて優しい人はもう目覚めないのに。


   それでも最低な僕には明日がある。明日を生きていかないといけない。


     あなたから貰った全てを次に繋げていかなきゃいけない。


  これから僕は今よりどんどん最低で汚れた人間になっていくかもしれない。


     大人になるっていうのはそういう事なのかもしれない。


             僕はまだ子供だ。


    一人じゃ何もできないしこの先全てがうまく行くとも限らない。


       うまくいかないことの方が多いかもしれない。


       でもどれだけ嫌になっても未来は続いていく。


  明日突然死んでしまうかもしれない。それでも今ここに生きているなら、


           どんなに辛くても生きていく


            悲しくても生きていく


            苦しくても生きていく


            死にたくても生きていく


        それは遠い先、未来の話かもしれないけど、


       あなたに全力で生きた僕を見てもらいたいから。


    これからの先の人生想像なんて出来ないけど、目標はできた。


         結局最後まであの人に助けられてるけど


           幸せになる為に、未来の為に、  


                僕は

            

            明日を全力で生きていく

     

             こんな最低な僕でも



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こんな僕でも ピッキー @piki0713

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