第15話 好きなもの
美術部が終わり、愛花は急いで帰り支度をした。
「愛花、今日は何か用事があるの?」
桜井が尋ねた。
「今日は由利ちゃんと健とね。拓也さん帰り遅いみたいで。」
「ふーん。僕も一緒に行っていい?」
◇◇◇
由利と健が待つ下駄箱近くまで、桜井と愛花は一緒に行った。
健は桜井のアイドル顔に、東京の男はレベル高いというような表情をしていた。
「はじめまして。美術部部長の桜井慎吾です。」
キラキラのオーラだ。
「こちらこそ、よろしく。相沢健です。
愛花がいつもお世話になってます。桜井先輩?」
笑顔で睨みあう二人。
幼なじみマウントきたああ。
由利は二人のやり取りに、心で突っ込みを入れた。
鈍い愛花は全く気がつかない。。
「それじゃ、サイゼリヤでご飯食べながら話す?」と提案した。
◇◇◇
一方、海堂龍之介と拓也はパーティー後、車で日本料理亭へ向かっていた。
無言のままの車内。
「父さん、一体、日本料理亭で何を」
拓也の疑問に龍之介は淡々と告げた。
「お前の見合いだ。」
父の一言に目を丸くした。
(ええええー)
僕は内心で木霊した。
◇◇◇
サイゼリヤは様々な客層で混雑した。
席に4人がつき、ハンバーグやピザ、ドリンクバーを注文した。
代表して愛花がメニューに書いた。
「由利ちゃんたち、寮に外出に許可とったの?」
疑問に思って尋ねた。
「当たり前よ。愛花」と笑った。
「そういえば愛花、優さん来年教育実習で就活だって。」
「兄さんが小学校の先生か」
ニコニコとしてる愛花。
「それで、中学生の空は写真部。」
ドリンクを飲んで健は話した。
「皆、それぞれ自分の道を見つけてるんだね。」
由利が桜井に尋ねた。
「桜井先輩はやっぱり進路は、そのまま画家ですか?」
「美大には行く、やっぱ絵は好きだし上手くなりたい。」
その言葉に愛花はにこにこと聞いていた。
愛花の笑顔に、桜井は顔を赤くして「何だよ」と言った。
「オレはバスケを上手くなりたい。もっと」
バスケが好きでたまらない瞳、由利は続けた。
「私もかな。好きだからバスケは続けたい。愛花は?」
「私も絵が好きだから続けたい。」
桜井がその言葉に笑みを向けた。
「それぞれ、好きなものがあるのは幸せなことだ。」
注文した料理が来て「美味しい」と口にしながら食事をした。
楽しい瞬間はずっと続いてほしいな。
そう思う愛花だが、中学生の時に自分の祖父である人物が拓也さんに、高3までと話していたのを覚えていた。
(先のことを考えないと...)
◇◇◇
日本料理亭
豪華な料理が並んでいた。
「見合いって、僕はそんなつもりは、それに愛花ちゃんが卒業するまでは自由にしていいって言ったじゃないですか。父さん、」
こんな騙し討ちみたいな真似をされたら、怒りたくもなる。
「まあ、すぐに結婚しろとは言ってない。とにかく会ってみろ。」
父が襖を開いて部屋を出ていく。
外には大きな満月が見えて、月の光が輝いていた。
店の店員が襖こしに話す。
「到着なされました。」
襖をすっとあけて、入ってきた女性は豪華な鶴が刺繍されて、特徴的な天然パーマを編み込んだ女性。
よく見知った顔に拓也は驚いた。
「さ、里山??」
「久しぶり。拓也。」
見合い相手は里山照子ー愛花の中学時代の担任で、学生時代の拓也の美術部仲間だったからだ。
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