第14話 それぞれの放課後
担任の加藤大介先生が転校生を紹介する。
コホンと一息つく。
「今日から、このクラスに転入する相沢健くんだ。
我が校バスケ部は全国出場を何度もしてる強豪だ。だか、日本一には届かない。
そこで沖縄の高校のバスケ部でプロにも注目されていた彼を引き抜いたという訳だ。」
加藤先生はバスケ部顧問なのである。
先生に自己紹介をと言われて、健はほんわかな笑顔を向けた。
「相沢健です。沖縄から来ました。よろしくお願いします。」
クラスの女子は健にキャー♡と言っている。
休み時間になり、健はクラスメイトに囲まれている。
女子ばかりかと思ってたら、バスケ部の男子ともポジションはどこ?という会話をしていた。
◇◇◇
外見は背が伸びて、髪の毛は黒髪で短髪。
人当たりも良くなってる。
数年会わない間に変わったなと笑みを浮かべた。
由利ちゃんがトントンと肩を叩いた。
「ねえ、愛花。まさかあのイケメンが幼なじみなの?」
顔を紅くして尋ねてきた。
「うん。」コクリと頷いた。
「愛花~今日、学校終わったら話さない?」
健が聞いてきた。
「部活があるから、そのあとならいいよ。」
今日は拓也さん帰り遅いみたいだし...
「オレも寮の入室準備があるから、ちょうどいいな。」
にこっと笑った。
昔は一人称が僕だったのに、今はオレと自身を呼んでいた。
「じゃあ、私、同じバスケ部で寮暮らしだから愛花が部活終わるまで相沢君を案内してあげようか?」
手をあげる由利ちゃん。
「本当に?助かる、えっと名前、」
「私は板野由利、よろしくね。」
笑顔で手を出されて、健は由利ちゃんと握手をした。
◇◇◇
放課後
美術室ー...
部員数名がデッサンの準備をしていた。
「愛花先輩、全日本学生美術展応募しますよね?」
1年生の大人しい女の子の部員が尋ねてくる。
「もちろん」
私は昨年応募したら、佳作には入ったけど審査員推奨に入ったのは...
「全日本の前に、文化祭に展示する絵を仕上げる方が先だろう。」
アイドルのような顔立ちで、私と1年生部員を叱責した。
「すみません、部長」
1年生の部員が慌てて席に戻る。
「まあまあ、桜井君、話題に出すくらいいいと思うけど。」
ふと顔を覗くと、桜井君が不機嫌顔だ。
「何かあった?」
「今日、愛花のクラスに転校生来たんだろう?沖縄から、3年のバスケ部の連中が騒いでた。プロからも注目されてるって、」
「あ~健のことですか。」
なぜ健のことで桜井君が、不機嫌になるかがわからない。
「どういう関係?」
「沖縄にいた時の幼なじみだよ。」
柔らかい笑みを浮かべた。
美術部員は部長と副部長の会話に、恋愛漫画を読んでるようなじれったさを感じていた。
◇◇◇
海堂拓也はその頃、
日本美術家連盟が主催するパーティーに参加していた。
(帰りたいー...)
ため息をついた。
すると、後ろから「拓也」声を駆けられた。
年齢は60歳を少し超した。
白髪は混じるも背筋は伸びて、品の良いスーツを着こなしていた。
美術の名問ー...海堂家総帥を担う。
海堂龍之助
「父さん...」
「夜は日本橋の料理屋に行く」
(料理屋?)
それだけ言うと、人のいる方へと歩いていった。
◇◇◇
放課後
由利は健を案内していた。
「ここが体育館」
「おお~流石名門校の体育館、デカイ」
興奮したような声で、目をキラキラさせている彼を見て由利は好ましく思った。
「バスケ好きなんだね。」
「昔、バスケを進めてくれた人がいて始めたのがきっかけだけど、ドリブルの音、シュートやダンクが決まった時の快感、苦楽を共にした仲間と勝利した時の嬉しさ。
全部好きだ。」
何をするにも熱中できなかったー...
そんな時に愛花の兄の優がバスケットを進めてくれた。
今となっては感謝しかない。
「私も好きだよ。バスケ、小柄な自分でもコートの中では大きく飛べる。」
瞼を閉じて嬉しそうにしている由利。
そんな彼女を見て健は呟いた。
「オレたちは似ているね。」
放課後の校舎案内は、心地よい気持ちで過ごすことが出来た。
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