第11話ー①

その日の夕食。

今日は沖縄の料理。「ゴーヤチャンプルー」を作った。

今日の部活で桜井慎吾君と喧嘩してしまった。

ムキになってしまったのは、拓也さんをバカにされたからだ。

拓也さんはゴーヤチャンプルーを美味しそうに食べている。


「うん。美味しい。愛花ちゃん料理の腕をあげたね。」

拓也さんは私の顔を見て、「何かあった?」と尋ねる。

私は驚いて顔をあげた。

「え?」

「愛花ちゃんが、沖縄料理を作る時は何かあった時かなと思ったんだ。」


拓也は顧問の里山から連絡を受けていたが、あえて何も知らないふりをした。


愛花は拓也に事情を話した。

「私は絵は描いた人の心が宿るものだと思うんです。それを彼にも分かってもらいたい。そして、拓也さんの絵が人の心に響く訳を知ってもらいたくて、ムキになってしまいました。」


絵を喧嘩の道具にしてしまったことに、罪悪感がある私は下を向いた。


頭にポンと拓也さんの優しい手が置かれた。

「愛花ちゃん、その気持ちがあるなら大丈夫だよ。きっと、彼も分かってくれるさ。」

トクン。

「拓也さん...」

私は胸のときめきを感じて心臓を抑えた。


この気持ちを何というのか私は知らない。


9月。11月の文化祭までの2ヶ月間ー...私は絵の猛特訓を進めた。


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