第7話 夏休みの約束
「君、1年?」
男子生徒が私に声をかけてきた。
私に言っているのだと気がついて、慌てて話した。
「あ..はい。」
「ふーん。」
放課後部活が始まる。
美術部はデッサン以外にも、彫刻なども行う。
夏休み前の部活。
美術部は2学期の文化祭に向けて、個々に技術を磨いている。
隣でデッサンをしている高木愛美部長に、私は話しかけた。
「さっき、部室に男子生徒がいましたけど、入部希望者でしょうかね?」
デッサンしてる筆を止めて、部長が疑問を口にする。
「入部希望者がいることは、顧問には聞いてないわ。誰かしら?」
それなら...さっきの彼は誰だったんだろう?
私は筆を動かしながら考えていた。
「ところで、愛花ちゃん夏休み。自宅に遊びにいっても平気かしら?」
目がキラキラに光っている部長にたじろく。
「高木は海堂拓也の大ファンだからな。」
男子部員が声をかけた。
「大丈夫です。拓也さんも喜びますよ。」
ニコと微笑む。
「さぁ、部活終わったら皆で個展いきましょう。」
一方沖縄。高等部の体育館バスケ部が練習していた。
シュートの入る音。バッシュの音に観入られた。
「健やってみないか?バスケ。」
優さんの誘い。
これが僕とバスケの出会い。
竹坂ビルの個展。
美術部の皆で見ていた。
「どれも素敵な絵。」
最優秀部門。中学2年桜井慎吾。
私と同じ中学生で。
描いてある絵は青空に虹。
そこに風景が存在しているような絵。
「すごい。」
「彼は美術の天才くんよ。
海藤拓也の再来とも言われているの。でも、地方に住んでいるから関わることはないでしょうね。」
《桜井慎吾ー...》
なんとなくその名前を心で復唱した。
個展を見終わって帰宅した。
今日の夜ごはん登板は拓也さん。
チャーハンを作ってくれた。
拓也さんは告げる。
「愛花ちゃん夏休みもうすぐだよね?どこか行きたい箇所ある?」
きっと私が沖縄に里帰りしたいと言ったら、拓也さんはお金を出してくれるだろう。
だけど、それじゃダメだ。
自分の力での里帰りをするって決めたから。
「拓也さんと美術館に行きたいです。」
若干照れ気味に話す愛花。
拓也は目を丸くするも、そのあと笑顔になる。
「よし、じゃあ一緒にいこうか。夏休み。」
愛花は夏休みがくるのが楽しみになった7月のある日の出来事である。
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