第16話 決戦の場
2週間はあっという間にすぎて、千樹は渚、楓、ほたると共に決戦の場である亜樹の城へと向かう準備をしていた。
髪は三つ編み、衣装は宮司の姿。
手に一枚の札を持ち式神を呼び出した。
ポンと音がして現れたのは大きな白い鳥である。
「うわああ。大きな鳥ですね? 千樹さん」
渚が驚いた表情だ。
彼女は動きやすいように赤いブラウスに膝丈までの黒いズボンを履いている。
「渚さん、樹霊石は持っていますか?」
「もちろん!肌身離さず持っていますよ。」
渚は自信満々の表情だ。
「いよいよ、最終決戦だな。にしても、何で俺たちまでこの装束なんだよ。動きにくいぜ。」
愚痴を言う楓をほたるは嗜めた。
「この装束が力を最大限に発揮出来るってことだよ。楓」
楓は宮司、ほたるは巫女の姿をしている。
「楓くん、ほたるちゃんの言う通りですよ。」
優しく微笑む千樹。
全員が式神の鳥の上に乗ったところで、大樹が姿を表した。
「どうかご武運をー...」
全員が頷く。
「大樹さん、樹理様を助けて亜樹さんも救います。」
渚の言葉に一同が日だまりにいるような暖かさに包まれた。
「では行きましょうか。」
千樹の言葉を合図に白い鳥は空高く羽ばたいた。
◇◇◇
一方、霊力が100%戻った樹理。
渚たちの波動を感じ念話で連絡を取る。
『渚!聞こえるか?』
『樹理様、聞こえます。』
『今から私が言うことを聞いてほしい』
この城は大きな結界が張ってある。
外側からの攻撃で解くことは不可能だ。
私が中から援護するー
中と外と同時に解くぞ。
解いたら私のいる部屋の窓まで式神を飛ばすんだ。
『じゃあ、その外からの役割は私が引き受けるよ。樹理』
目を丸くするもフッと笑みを浮かべる。
『頼んだ』
◇◇◇
亜樹の自室、ベッドに横たわる亜樹。
(千樹たちが来たかー...)
ひしぎが尋ねた。
「よろしいんですか?このままで、」
「いいさ。どのみち、全員が五芒星の呪法が発動する地下迷宮に導かれる。君の部下を使っていいよ。
準備運動くらいしてもらわないとね。」
亜樹はクスリと笑う。
「理解」
ひしぎは亜樹の部屋を出て部下たちに召集をかける。
◇◇◇
式神が塔の上部に到着する。
樹里は数珠に千樹は指先に霊力を込める。
『千樹準備はいい?』
『いつでも』
二人は最大限まで霊力を同調させる。
「解!!」
その言葉を合図に城を覆う結界が破られた。
パリッパリッという効果音の後。
衝撃で窓ガラスが割れた。
樹里が下を覗くと式紙に乗った渚たちが確認できた。
「樹里様ー!!」
笑顔で手をふる渚。
部屋に近づいてくる足音が聞こえ、樹里は飛び降りる。
渚は樹里をしっかりと受け止めた。
「渚、ただいま」
渚に久しぶりの巫女装束を見られて、若干恥ずかしさが募る。
渚はにこにこしながら答える。
「おかえりなさい」
その光景に一同が和んだ。
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