第9話 囚われの身
亜樹から放れている金の鎖がシュンッ伸びて、私を捉えようと高速で向かってくる。
霊力を込めた数珠で結界を張り防御した。
《グッー..
亜樹の鎖が私の結界を破こうとしている。》
樹里は瞬時に結界の強度をあげて、防いでいる。
亜樹と樹里の攻防は激しさを増す。
その頃、渚、楓、ほたるの前に、水の宮司ひしぎが姿を現した。
「ひしぎ!まさか、お前が来るとはな。」
楓が冷や汗をかきながら問う。
「亜樹さんに言われて、私たちを連れ戻しに来たんですか?」
ほたるは楓に続く。
渚はひしぎと対面して驚いた。
(この人ー..私と同じ能力封じの印が額に。)
能力封じの印。異能の力を持つ子が聴衆に害を向ける危険性を持つ子どもにかけられる呪い。
私は樹里様と出逢って救われた。
この人はどうなんだろうー...?
「いいえ、今日は稽古ですよ。」
ひしぎの波動に大地が揺れた。
「!!」
「楓、ほたるちゃん。私の指示通りに動いて欲しい。」
「えっ?」
水の攻撃が再度放たれた時。能力を解放させる渚がほたるに触れて、ほたるが手を翳して唱えた。
「炎よ。踊れ。」
ほたるの炎がゴォォと、勢いよくひしぎの水を打ち消した。
「なっ?」
驚くひしぎ。
「...すごい。こんな力、今まで出せたことなないです。渚さん何を?」
ほたるも尋ねる。
楓が続ける。
「能力を最大限にあげることができる力だ。」
ひしぎが成る程と呟く。
「ブースターの力。大地の巫女が、あなたを付き人に選んだのは人柄だけではないみたいですね。」
「私は樹里様に救われました。
あなたは、亜樹さんの計画に賛同しているなら、どうして辛そうな目をしてるんですか?」
「辛い?私が...」
渚とひしぎが見つめあう。
フッ。口角があがる。
シュンと姿を消したと思った瞬間。
渚の背後にたつ。
水の刀を出して、渚を斬りかかろうとするひしぎ。
(しまっ...)
渚は心で樹里様と名前を呼んだ。
周囲が光に包まれる。
亜樹は片膝をついて、当たりは荒れ放題。
「ハァ、ハァ。」
亜樹も樹里も傷だらけだ。
「流石だね。樹里ー...」
樹里は亜樹に大地で作った薙刀を向けた。
「亜樹、これは最後通告だ。」
《ー...樹里さま!!》
樹里は渚の声が聞こえて、無意識に渚たちのいる森の方を振り向く。
「渚?」
亜樹は笑みを浮かべて、瞬時に鎖を出して樹里を縛る。
その後、更に能力で作り出した金の数珠で、樹里の身体を囲んで技を繰り出した。
地面に倒れこんでいる樹里。
形勢逆転した瞬間だった。
《油断した。
これは念呪縛...指一本動かせない。
渚ー、、》
「普通なら念呪縛をかけた瞬間に、気を失うんだけど、樹里は流石の精神力だね。
時間の問題だろうけど。」
亜樹は柔らかい微笑みを崩さない。
渚がひしぎに斬られそうな瞬間、周囲が光に包まれる。
樹霊石が渚を守っていた。
しかし、樹霊石に傷がついていた。
「樹霊石は樹里の命みたいなもんだ。それに傷がついてるってことは、樹里に何かがあったということだ。」
楓が悔しげに拳を握る。
「その辺にしておきましょう。」
サクッと1人の男性が突如現れた。
紫の髪を後ろで結び、片方の瞳はエメラルドグリーン。
その場にいる者が一目で分かった筧一族の者である。
亜樹はひしぎに念通話で話しかけた。
《ひしぎ、戻ってきていいよ。樹里も保護出来たからね。》
亜樹は気を失っている樹里をお姫様抱っこをしながら、城の方に歩いている最中だった。
その時に感じた波動。
まさか、君まで来ていたとはね。
千樹(せんじゅ)
《わかりました。》
ひしきは念通話を終える。
「そうですね。大地の巫女は保護出来た様子ですから。」
ひしぎはその場から姿を消しさる。
彼の言葉に、渚は慌てて念通話で樹里に連絡を取るも応答がない。
(っ、応答してください。樹里様..!?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます