第3話 出逢い
告げられた真実に渚は、運命の時計が再び動き出す音を感じていた。
樹里様から語られる真実に、私は口元を両手で抑え込む。
「ど、どういうことですか!?
自分の兄が一族を滅ぼすなんて..それに、」
チラッと樹里を見る渚。
樹里の表情は眉間に皺を寄せている。
区長は重い空気に耐えきれずため息をもらす。
「お嬢さん。それは後後、分かってくる。どうか巫女様を信じてくだされ。」
区長の言葉に服をぎゅっと握りしめる樹里。
「もちろんです。
世界中の人が信じなくても、私は樹里様を信じてますよ。」
胸に手をおいて、渚が笑顔で言葉にする。
「渚...」
渚の方を振り向き目を丸くする樹里。
区長は安心したように頬を緩める。
「巫女様。
良き仲間を持ったな。全てが終わるまで、このホテルに滞在なさってくれ。」
樹里は区長の《良き仲間》の言葉に、軽く頬を染めた。
「そうさせてもらう。」
樹里と渚は部屋に戻る廊下を歩いてる。
先ほどの渚の言葉を思い出して、薄く口角をあげる樹里。
(世界中の人が信じなくても私を信じるか。)
樹里は渚と出逢った時を思い出していた。
渚と出逢ったのは、亜樹とのことがあった少し前のことだー...
没落した異能者の村。立ち退きを指令してもそこに居座り続ける子どもがいる。
《子どもは保護するから、巫女様に何とかして欲しい。》
当時、18歳の私は巫女装束を着ていた。 私は筧一族が所有する神社に住んでいた。
皆に頼まれその場所まで出向くことにした。
(全く子ども1人くらい自分たちで、何とかしろという話だ。)
道をテクテクすると凄まじい波動を感じた。
衝撃波が飛んでくるのが分かり、数珠を持ち結界を張る。
(誰だー!?)
樹里が当たりを警戒したら、ぼろぼろの洋服をまとった子どもが姿を表した。
真ん中にひし形の印がある。目は虚ろで、髪はボサボサに荒れほうだい。
「何度来ても無駄よ。私はこの場所を離れない!!」
この子供こそ、10歳の時任渚である。
18歳の樹里はこの時から既に運命の渦の中にいた。
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