第5話 着ぐるみパレードの企画

 よく分からんことを言われると、どう返事をしたらいいのか。

 返す言葉が思い浮かばずに黙っていると、笹本が口をひらいた。

「あの、着ぐるみパレードって?」

「ああ、俺が企画した」

「何の意味があるんですか?」

「まあ、どうやって人類を選択すればいいのかってことでね。ちょっとした実験だよ」

「実験?」

「金を持っているとか、学力があるとか。なにで選んだところで腐敗する」

 ダイオウグソクムシって、どんな生き物なんだろう?

 さっき笹本は深海の生き物だって言ってたよな。

 サメとワラ人形が、ダイオウグソクムシから人類について語られている。

 すべてが変だから、ツッコミどころが分からない。

 ダイオウグソクムシの話は続く。

「ま、要するにガチャだよ」

 「親ガチャ」なんていう言葉がある。生まれてきた家庭環境、遺伝された能力、容姿で人生が左右される。そういう運命を「ガチャガチャ」の運試しにかけた言葉だ。

「着ぐるみに入った人間で選別する。そこにあるのは運だけだ」

「はあ~?」

 笹本が変な声を出す。

「もうすぐパレードがはじまる」

 ダイオウグソクムシの言葉が終わると、部屋が真っ暗になった。

「わっ、なんだ?」

 何が起こるのか身構えたが、何も起こらない。

 おそらく逃げただけなのだろう。

「たしか、後ろに照明のスイッチがあるから」

 笹本が後ろに電気をつけに行ったようだ。

 カチッと音がして、照明がつくと、シャチがいた。

 ダイオウグソクムシは逃げたようだ。

「また会えましたね」

 シャチは余裕のあるのか、椅子に座っている。

「笹本、おまえは逃げろ。あいつを探してくれ」

「いいのか?」

「ここはまかせろ」

 シャチが立ち上がる。

「フフッ、美しい友情ですね」

「いや、アイツがいるとサメモードの時に、どうするか分からねえし」

「そうですか」

 水の中に沈んでいく。どんどん深く、そして意識がなくなる。

 


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