天空17 偉業達成


「……ステータス、オープン」



名前:ユタカ=アマガミ

称号:【異世界召喚者】【異世界勇者】【リンゼワースを知る者】

種族:異世界人、仙人

年齢:15

職業ジョブ:異世界勇者Lv1、仙人Lv1

能力値アビリティ

生命力 1032/1032

魔力 1202/1202

体力 1000/1000

力 100

頑丈 100

俊敏 100

器用 100

知力 100

精神力 100

運 100

魔法:全属性魔法Lv1

固有スキル:適応Lv2、天空島Lv2、不老不死Lv1

パッシブスキル:光合成Lv5、魔力回復Lv5、生命力回復Lv5、水吸収Lv3

アクティブスキル:アイテムボックスLv1、鑑定Lv1、魔力感知Lv5、魔力操作Lv2、遠見Lv5、水属性魔術Lv1、土属性魔術Lv1、生命力感知Lv5



うん、間違い無く仙人になっている。

そして不老不死……。


そうだ、ステータスの声によると固有スキル〈天空島〉が請願したとか言っていた。

スカイコア先生なら何故ここまで変化したのか詳細に知っている筈だ。


「不老不死になって仙人になったんだけど?」

『偉業達成、誠におめでとうございます』

「ありがとう、で、その偉業って聖剣を守った事? 後なんで聖剣守って不老不死?」


聖剣を守った事が偉業だと言う事は分かる。

多くの人を直接救ったりした訳ではないが、聖剣を残すことでまだ見ぬ後世人達を助ける事になった筈だ。


しかし、それが偉業と認められて何故仙人になるのかは全く分からない。

聖剣と言えば勇者。聖剣を持つ仙人なんか聞いたことが無い。聖剣と仙人は関係性が皆無としか思えない。

偉業を達成すればどんな偉業であっても一律仙人になるシステムなのだろうか?


『今回達成した偉業は聖剣とは全く関係ありません』

「……えっ?」


全く予想外の解答が来た。


聖剣が無関係?

それ以外、偉業なんて心当りないのだが?

もしかして、ただの異世界ファンタジー世界では無く、ゲームっぽい世界で一ヶ月連続ログインするとボーナスが貰える的なシステムなのか?


『食料が一切存在しない極限環境下で生存し続けた事が偉業であると認定されました』

「…………それ?」


まあ、確かに、普通なら達成不可能だ……。


加えて極限環境下で飲まず食わずというのなら、仙人のイメージがある。

と言うか、仙人でも無ければ生存不可能だ。


人の身でそれを成したのなら、偉業と言われれば偉業だろう。


この天界、宇宙空間の高度に位置する天空島に辿り着いている時点で偉業だ。

秘境どころか仙境レベルですらない。


死の砂漠ですら歩き続けていれば何れ外に出られ食料を得られるが、ここは完全に隔絶されている。

辿り着けないだけで無く、真に過酷なのは間違い無くこの島だ。


今更ながら、そんな厳し過ぎる極限環境で呑気に日光浴しながら一月も過ごしていたんだな……。


「でも、一ヶ月くらいで仙人になれるのなら、仙人って割と多くいるのか?」

『いえ、観測記録は私の把握している範囲ではありません。本来の条件は更に過酷であると考えられ、今回は固有スキル〈適応〉と私の演算能力により達成難度を大幅に下げた結果であると考えられます』

「そうなんだ、ありがとう」

『マスターをサポートする、それが私の存在意義ですから』


史上初の激レア存在になったらしい。

それしても、不老不死。

マジで地上に降り方法を見つけなければ本物の仙人になってしまう。

いや、本物の仙人ではあるのか。ややこしい。


永遠に天空にいる事だけは何としてでも避けなければ。

永遠に日光浴している羽目になる。



「そう言えば、魔力とかが増えているけど、これは?」

『魔力等は通常、ジョブのレベルアップにより増加しますが、魔力を使い続ける事によっても微小ながら向上します』

「微小って、二割増しになっているけど?」

『魔力の過剰行使、最大魔力量を大幅に超える使用を一ヶ月間も続けましたので』


確かにそれなら、早送りで魔力を使い続けたのと同じだ。

寧ろ、上がり幅が少ないくらいかも知れない。


「因みに、他に魔力を増やす方法は?」

『最も効率的なのはレベルアップですが、その為には魔獣の討伐が必要です。この天空においてこの方法は難しいかと。他にジョブレベルを上げる方法では、そのジョブの経験を積む、勇者でしたら勇者らしい行動を続ける事でもレベルアップが可能ですが、それも難しいのが現状です。マスターが最も効率良く魔力量を増やす方法は、莫大な魔力を浴びる事かと』


モンスターを倒すという王道中の王道、というか常識レベルの強化法をそもそも倒す相手が周囲にいないという事で封じられ、コツコツ魔力を使い続けるしか魔力を増やせないかと思っていたが、他の方法があるらしい。


「莫大な魔力を浴びる?」

『はい、外部から莫大な魔力、具体的には最大魔力量の十倍程度の魔力を供給する事で、強引に最大魔力量が上る事が発見されています』

「そんなに簡単だったんだ」


確か、光合成フル活用で一時間での魔力回復量は一万、最大魔力量は千だからたった一時間でこの莫大な魔力を浴びる事が出来る。


『いえ、簡単な事ではありません。通常、マスター程の速度で魔力を回復させる事は出来ませんし、そもそも魔力を貯蔵する事も高位魔獣の魔石を加工した魔道具が必要であり、かなり難易度が高くなっております。

一般的な方でしたら、順調に魔力を貯蔵する事に成功したとしても一週間以上の時間を要するでしょう。他者の魔力を用いることは非常に危険な為、この時間を短縮することは基本的には出来ません。魔力回復スキルを持つ高位魔術師の方の場合でも、自らが高位になればなるほど高位魔獣の魔石を用意できなくなる為、実行は困難です。

高価な魔力貯蔵道具や魔力回復薬を資金によって集められる王侯貴族やマスターのように召喚された勇者様に行われていた方法です』

「魔力の回復って普通はそんなに遅いんだな。でも、早く回復してもここで魔力の貯蔵なんか出来るのか?」

『はい、スカイポイントから魔力への変換も可能であり、実質的に無制限に魔力を貯蔵可能です』


スカイコア先生、とんでも無く万能だったらしい。

高位魔術師がどの程度の人達なのかは知らないが、そんな人でも用意出来なくなる魔道具、それでも魔力貯蔵量に制限があるらしいそれを大きく上回る、いや制限無しという別次元の魔力貯蔵性能。

普通にチート級だと思う。


流石は聖剣と製作者を同じだけはある。

もしかして、聖剣級のチートアイテム(?)だったりするのか?


「じゃあ、その魔力の増加法、やってくれるか?」

『畏まりました』


不老不死になった事や、仙人になって呆然としている間に、十倍量の魔力は貯まっていたらしく、すぐに実行出来た。


内から膨大な魔力が湧き起こり、最大魔力量の壁により受け止めきる事が出来ず、流れ出てゆく。

身体は自らと同質の魔力の流失を防ごうと働き、流れ出る魔力と身体とが干渉し合い徐々にだが魔力の器とでも呼ぶべき壁が拡がる。


なる程、こうして最大魔力量が上がるのか。

レベルが上がった魔力感知によりかなり詳細に分かった。

感覚的には身体が熱くなる様な内から外に流される様な不思議な感覚がするだけだが、ちゃんと理屈は有るようだ。


おそらく、生存本能的に身体は自然に流失する魔力を食い止める方向に動き、その時に顕在化される魔力の器の壁が供給された過剰な魔力の圧力によって拡げられるのだろう。

他者の魔力で代用不可なのも、多分生存本能、止血する様に自分の魔力が漏れ出るのを防ぐ性質を利用しているからだ。それだと無秩序に輸血する様な結果になるのだろう。


『成功しました。およそ最大魔力量が一割増加しました』

「そんなに増加するんだ。じゃあ、また魔力が一万貯まる一時間後にまたしようかな。いやでも、それをやったらスカイポイントが貯まらなくなるな」


どちらを優先すべきだろうか。

先に最大魔力量を上げておいた方が回復する魔力も増えそうだし、先に魔力を増やすか?

でも、また不測の事態になった時の為に、備蓄があった方が良い気もする。


『スカイポイントでした問題ありません。マスターの身体から抜け出した魔力も抜け出す先はこの天空島、マスターの魔力は天空島の魔力と呼べるほど相性が良いので、ほぼロス無しに吸収しスカイポイントに変更可能です』

「じゃあ、もしかして無限ループ出来る?」

『可能では有りますが、最大魔力量以上の魔力を浴びる事は負荷も伴う為、推奨は出来ません。一日一回程度が理想値かと』


健康的にはよろしく無いらしい。

魔力量を増やしてゆくスカイポイントを沢山貯めたかったのだが。


『尚、現在の魔力回復量は一時間あたり一万では無く、スキルレベル上昇の影響により十万です』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る