『古代のラジオ』 下
タルレジャ王国の、タルレジャ教会教祖さまは、言葉による表現を、完璧に拒絶する、美しいという言葉さえも、もはや否定されるような、あり得ない存在、いえ、存在ではない存在しないというような、あり得ないというべきひとでした。
しかし、そのお話しは、極めてあたりまえだったのです。
『たいへん、ご迷惑をおかけしまして、深く謝罪いたします。申し訳ありませんでした。わたくしは、火星における自らの罪により、ひたすら祈りの日々ですが、科学省において、やりすぎがあったようです。それは、あたくしの罪です。』
『あの、謝罪は、お家に返してもらえたら、いや、あのコールドロンのあった場所の、西暦2025年のあの時間に返していただければ、受け入れますから。』
『おお、なんと、広いお心でしょうか。もちろん、帰る方法はございます。この、タルレジャ王国の宇宙旅行システム研究所にあります、人工冬眠室にて、西暦2025年まで、眠っていただきまして、その時が来たら、あたくしが、責任をもって、もとの場所にお返しいたします。わが、人工冬眠装置は、火星で開発し、完璧なものに進歩を遂げました。失敗する確率は、一億年の人工冬眠においても、0.00000000000000000000001%で、ほぼ、ありません。タルレジャ王国は、あなたの時代にもありましたか?』
ぼくは、思い出しました。
タルレジャ王国の三王女は、世界の人気者で、長女と次女は双子さんであり、長女のお名前は、ヘレナさんである。と。
『あなたの、お心はわかりました。あたくしは、相手の意思を読めますから。必要な時しか使いませんが。タルレジャ王国は、地球の滅亡まで続きます。その先は、どちらかの惑星に移住いたしまして、さらに、宇宙の最後まで存在するのです。あなた様には、この世界を見学していただきましてから、人工冬眠して頂きます。なお、恥ずかしいお願いですが、お帰りになりましたら、ぜひ、あたくしの伝記を書いてくださいね。思い切り、へんな、お話にしてください。内容はお任せ致します。あたくしは、『魔女、化け物』などと言われるのが大好きですの。』
『え! その約束は、むかし、したのですが………』
そうです。小さい頃、一度だけ会った少女と、同じ約束をしました。
『はい。それが、未来のあたくしだとおもいますが。』
たしかに、タルレジャ王国の王女さまだと、言っていました。
なにしろ、ままごとみたいな感覚でしたが。
『まあ、確かめに行ったのでしょう。ほほほほほほほ。執筆代金は、必ず、何かの形で、お支払致します。ただし、完成したらですよ。あなたの、生き甲斐にしてください。また、お側には、それなりの女神さまを派遣致します。なにか、美味しいものを差し入れるようにいたしましょう。』
『あの、ほかに、さっと、帰れるような手段はないですか?』
『さっと、帰れますよ。貴方にとっては、一瞬です。ほんの。』
ぼくは、タルレジャ王国から、恐竜さんがまだ栄えている地球を見学し、美味しいご馳走をいただきまして、人工冬眠装置に入りました。
😪💤💤
で、気がついたら、赤穂コールドロンの縁にあるというベンチに寝ておりました。
間違って踏み外した場所です。
まさに、その辺りの時間でありまして、ぼくは、何をしていたのか、分からないのです。
ただ、カバンには、小さな可愛い箱が入っていて、その中には、四角の輝く宝石みたいなものが、ありました。
触ると、あの、奇妙な音楽が鳴り始めました。
『わわわわわ。』
慌てて、手を離すと、鳴りやんだのです。
箱の隅には、小さな、大変に美しいカードが入っていました。
材質が、ちょっと、わかりませんが。
『この、カードを王宮にお持ちくだされば、厚くおもてなし致します。ヘレナ。』
『あやしい。怪しい、妖しい。』
このカードは、後に、ただ物ではないことがわかりましたが。それは、また。
さらに、ぼくが、なにやら、でっかい恐竜さんに追いかけられている写真が添えられていて、触ると、それは、動画になりました。
また、ヘレナさんと、並んで記念撮影した写真も、出てきたのです。
さらに、ラジオ・タルレジャの、ベリカードと、番組表がありました。
スマホには、あの地球で写した写真が残っておりました。
さらに、裏には、こんなメモ書きがありました。
『スマホのデータから、歴史年表など、いただきましたあ。ありがとうございます。参考にします。ヘレナ。』
おわり
その晩、真夜中に、突然、幽霊みたいな女性が現れました。
『やましんさあん。不思議が池の幸子です。女王さまのご指示で、高級不思議が池饅頭、たくさん、持ってきましたあ。さあ、じゃんじゃん書きましょう。』
『古代のラジオ』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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